Research Abstract |
30歳以上の全国女性看護師を対象にベースライン調査を実施しているが,2001-2002年第一次対象者募集で39,371人(追跡調査参加のコホート成員9,009人),2003年第二次対象者募集でコホート成員約5,300人から回答を得ている。今年度は,第三次対象者募集として,新たに1,600人からも回答を得た。コホート成員は,パイロット研究も含めると,累積で約17,000人となった。一次募集でのコホート成員については,追跡2年後調査として,生活習慣の変化および新規疾病発生について追跡調査を実施している。また,女性ホルモン薬については,写真付薬剤リストを調査票に同封し使用薬剤を特定した。 欧米では閉経後の女性の約半数が,ホルモン補充療法を利用しているといわれている。しかし,2002年に米国の大規模臨床試験Women's Health Initiative (WHI)が,冠動脈疾患の増加など予想に反する結果を発表し,世界に衝撃を与えた。わが国では,欧米と比較して利用頻度が低いといわれてはいるが,わが国女性での利用実態を把握している研究が少ない。そこで,WHI研究結果公表の影響をみるため,本コホート研究の第一次募集集団と第二次募集集団での利用割合を比べてみた。 2001-2002年第一次対象者でのホルモン補充療法利用歴割合(95%信頼区間)は,45-49歳で4.5%(3.97%-5.00%),50-54歳で9.1%(8.25%-9.91%),55-59歳で10.9%(9.41%-12.42%)であった。2003年第二次対象者では,45-49歳で5.4%(3.98%-6.91%),50-54歳で11.0%(8.58%-13.37%),45-49歳で16.7%(11.89%-21.44%)であった。このように,わが国でも閉経後女性の約1割は,ホルモン補充療法を利用していた。また,利用者頻度はWHI研究結果公表後にかえって多いものであり,欧米で報告されたWHI公表直後にみられた利用者の減少は,本コホート参加者では観察されなかった。
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