2003 Fiscal Year Annual Research Report
過酸化脂質を指標とした生体膜障害の分子構造の解明とその法医学的応用
Project/Area Number |
14370155
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
足立 順子 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (40030887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
主田 英之 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (90335448)
浅野 水辺 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (90283879)
上野 易弘 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30184956)
富田 正文 川崎医科大学, 医学部, 講師 (50113197)
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Keywords | フリーラジカル / コレステロール過酸化物 / パラコート中毒 / アルコール / オキシステロール / ラット |
Research Abstract |
1.パラコート連続投与によるコレステロール過酸化の亢進 ラットにパラコート10mg/kgを1回のみ(急性投与)と、1日1回7日間投与した(連続投与)。最終投与24時間後に肺を摘出した。急性投与では対照群と比べ、体重およびコレステロール過酸化物(7α-OOHと7β-OOH)の差は見られなかった。連続投与後には、対照群に比べ体重は有意に軽く、7α-OOHは2.8倍、7β-OOHは2.5倍に増加した。オキシステロールの7α-OHと7β-OHは2.0倍、7-ketoは1.7倍に増加した。加えて、光学顕微鏡下に肺出血、肺腹壁の肥厚、マクロファージ等の炎症細胞の増加が見られた。パラコート連続投与がコレステロール過酸化の亢進と肺の形態的変化を引き起こしたことが示された。 2.リン脂質過酸化物の分子構造の解明 生体膜の構成成分であるリン脂質はフリーラジカルにより過酸化を受けると言われている。ラットの心筋抽出物を用いてLC-MSによりリン脂質過酸化物の分子種と構造の解析を行った。Folch法により粗脂質を抽出し、固相抽出によりリン脂質画分をとった。LC-MSはQ-TOF micro正イオンモードのエレクトロスプレーイオン化法を用いた。phosphatidylcholine(PC) hydroperoxide(16:0/18:2-OOH,PCOOH)の合成品を標品とした。標品をLC-MSに注入するとm/z790.6の(M+H)^+イオンとm/z812.6の(M+Na)^+イオンが出現した。心筋抽出物についてm/z790.6のMCをとると、3つのピーク(a,b,c)が出現した。MS-MS分析を行い、標品のproductionと保持時間の比較からcがPCOOHであると同定された。18:1/18:2PCと18:0/18:2PC等の分子種の異なるPCについても、16:0/18:2PCと同様のPCOOHの存在がLC-MS法を用いて推定された。従って、LC-MS法を用いるとリン脂質過酸化物の分子種の決定と構造解析が可能であった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] J Adachi: "7-Hydroperoxycholesterol and oxysterols as indices of oxidative stress : chronic ethanol feeding and rat skeletal muscle"Legal Med. 第5巻. S105-S109 (2003)
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[Publications] J Adachi: "Fatty acid profile in skeletal muscle of the rat in response to acute (2.5 hours) and prolonged(6 weeks) ethanol-dosage"Addiction Biology. 第8巻. 181-189 (2003)
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[Publications] J Adachi: "Consecutive administration of paraquat to rats induces enhanced cholesterol peroxidation and lung injury"Arch Toxicology. 第77巻. 353-357 (2003)
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[Publications] J Adachi: "Alcoholic muscle disease and biomembrane perturbations"J Nutrition Biochemistry. 第14巻・第11号. 616-625 (2003)
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[Publications] Preedy VR: "The importance of alcohol-induced muscle disease"J Muscle Res Cell Motil. 第24巻・第1号. 55-63 (2003)