2003 Fiscal Year Annual Research Report
Notch systemによる膵再生機構の解明と新しい膵移法の開発
Project/Area Number |
14370172
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
下瀬川 徹 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90226275)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 憲治 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (90359513)
今谷 晃 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助手 (30333876)
|
Keywords | Notch / 膵再生 / 膵癌 |
Research Abstract |
[背景]胎生期膵においてNotchが高発現していること、Notch ligand Dll1、Notch signalingのmediator RBP-Jκおよび標的遺伝子HES1のノックアウトマウスにおいて膵の形成異常が起こることから膵発生過程にNotchが重要な役割を果たしていることが示されている。一方truncated-type Notchがtransforming activityをもつことが種々の癌において知られている。また、wild-type NotchがRas signalingの下流でmalignant phenotypeの維持に関与していることが示され、Notchが癌治療のターゲットとなりうる可能性も示唆されている。 [目的] 1.成体膵においてNotchが膵幹細胞/前駆細胞のマーカーとなりうるか検討すること。 2.膵癌におけるNotchの役割を検討すること。 [結果] 1.ヒト膵癌細胞株BxPC3、MIAPaca2、Panc1、AsPC1を用いた検討 1)Notchの活性化を抑制することが知られているγsecretase inhibitorであるDAPT処理によって4系統全ての癌細胞株の増殖が有意に抑制された。抑制の程度はBxPC3において特に顕著だった。 2)DAPT処理により標的遺伝子HES1の発現が抑制されることを確認した。 3)BxPC3において、Notch signalingの抑制により、膵幹細胞/前駆細胞のマーカーとして知られているNestinの発現が抑制され、逆にCK-19およびE-cadherinの発現が増強した。 4)Ras signalingおよびWnt pathwayのターゲットと考えられているhomeobox geneであるMSX2の発現が、Notch signalingの抑制によって低下した。 2.マウス膵癌モデルを用いた検討 Rivera JAらの方法を一部改変して、chemical carcinogenであるdimethylbenzanthracene(DMBA)を膵局所に注入すると、2週後にtubular complex類似の腺管構造の増生を認め、この上皮細胞にNotch1の発現を認めた。 [考察] 1.Notchは膵癌細胞の増殖を促進するとともに未分化状態の維持に関与していることが示唆される。 2.マウス膵癌モデルにおけるNotch1陽性細胞が、膵再生とその異常および癌化に関与している可能性が考えられ、現在この細胞の分離培養を検討中である。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Suzuki N. et al.: "The expression of Notch family genes in human pancreatic cancer"Gastroenterology. 124. A-292 (2003)
-
[Publications] Masamune A. et al.: "Establishment and characterization of a rat pancreatic stellate cell line by spontaneous immortalization"World Journal of Gastroenterology. 9. 2751-2758 (2003)
-
[Publications] Masamune A. et al.: "Specific Rho kinase inhibitors block activation of pancreatic stellate cells"Br J Pharmacol. 140. 1292-1302 (2003)
-
[Publications] Sakai Y. et al.: "Macrophage migration inhibitory factor is a critical mediator of severe acute pancreatitis"Gastroenterology. 124. 725-726 (2003)
-
[Publications] Masamune A. et al.: "Differential roles of signaling pathways for proliferation and migration of rat pancreatic stellate cells"Tohoku J Exp Med. 199. 69-84 (2003)
-
[Publications] Masamune A. et al.: "Inhibition of p38 mitogen-activated protein kinase blocks activation of rat pancreatic stellate cells"J Pharmacol Exp Ther. 304. 8-14 (2003)