2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14370193
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
南須原 康行 北海道大学, 病院, 助手 (30322811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
檜澤 伸之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (00301896)
別役 智子 北海道大学, 病院・講師 (60333605)
西村 正治 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00208224)
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Keywords | 気管支喘息 / 遺伝子多型 / FCεR1β / PAI1 / 肺気腫 / 上皮細胞 / IL-8 / MIP-1α |
Research Abstract |
・本研究では、日本人において喘息発症に影響を与える遺伝因子を検討するために、包括的遺伝子発現解析から喘息病態との関連が大きいと考えられるいくつかの候補遺伝子に着目し、それらの遺伝子に存在する機能的な遺伝子変異の喘息発症における意義を検討した。検討した遺伝子は高親和性IgE受容体β鎖遺伝子(FCER1B、11q13)、プラスミノーゲシアクチベーターインヒビター遺伝子(PAI1、7q21)である。気管支喘息患者(約400名)、健常人(約400名)を対象とした。FCER1B遺伝子の-109C/T多型は喘息患者における血清総IgE値に遺伝的な影響を与えていた。FCER1B遺伝子とPAI1遺伝子いずれの多型も単独では気管支喘息との間に関連を認めなかったが、FCER1B遺伝子がTT型の場合にはPAI1遺伝子5G5G型が4G型を有する遺伝子型(4G4G or 4G5G)に比べ有意に喘息発症のリスクが小さかった。これらの一連の研究結果は、検討したそれぞれの分子の喘息病態における重要性を遺伝疫学的な手法で確認したことに加え、FCER1BとPAI1との交互作用の存在から、これらの分子を内包した共通のpasswayの存在と、それらの喘息病態における重要性を示したことに意義がある。 ・肺気腫に関しては、laser capture microdissection(LCM)法とRT-PCR法を用いて末梢気道上皮細胞および肺内マクロファージにおける3種類のケモカインの発現を定量し、喫煙、COPDの病態との関連を検討した。対象は肺癌にて肺葉切除術を受けた喫煙歴のない患者10名、喫煙歴があるが閉塞性障害や気腫病変を有さない患者10名。喫煙歴があり閉塞性障害あるいはCT上気腫性病変を有する患者10名。非癌部肺組織の凍結標本からLCMにて末梢気道上皮細胞およびマクロファージを選択的に採取した。閉塞性障害あるいはCT上気腫性病変を有する患者では、末梢気道上皮細胞におけるIL-8,MIP-1α,MCP-1の発現が他の2群に比べ有意に高かった。肺内マクロファージにおいては喫煙歴や疾患によるケモカイン発現に差は認められなかった。末梢気道上皮における炎症性ケモカインの産生亢進が、肺気腫の病態に関与している可能性を示唆する。
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Research Products
(6 results)