2002 Fiscal Year Annual Research Report
線溶系による肺線維症抑制の機序解析及びその治療応用に関する研究
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14370200
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Research Institution | Tazuke Kofukai Medical Research Institute |
Principal Investigator |
服部 登 財団法人田附興風会, 医学研究所・第5研究部, 研究員 (00283169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 正幸 財団法人田附興風会, 医学研究所・第5研究部, 部長 (90250076)
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Keywords | 肺線維症 / 線溶系 / HGF / ブレオマイシン / ウロキナーゼ |
Research Abstract |
現在、肺線維症の進行を抑制する治療法は確立されていない。我々はその可能性の一つとして、線溶系を応用することを目指している。ブレオマイシンによる肺線維症モデルを用いた我々の研究成果からは、線溶系が抑制された状態では肺の線維化が進行し、線溶系の賦活化により線維症が抑制されることが明らかとなっている。この現象を説明しうる具体的なメカニズムは不明であるが、フィブリノゲンノックアウトマウスを用いた実験から、線溶系によるフィブリン溶解作用以外の機序が関わっていることは示唆された。今回我々は肺胞上皮細胞の増殖促進因子であるHepatocyte growth factor(HGF)が関与しているのではないかとの仮説を基に実験を行い、1)ブレオマイシン傷害マウスの肺胞洗浄液(BAL)中のHGF濃度が線溶系活性と相関する、2)HGF中和抗体の投与により、ブレオマイシンによる肺線維症が増悪する、3)ブレオマイシン傷害マウスへのウロキナーゼの気管内投与により、BAL中のHGF濃度が上昇し、肺線維症の程度が軽減されることを明らかにした。これらの結果により、肺線維症の進展抑制には、線溶系とHGFが連携しながら関わっている可能性が示された。また、ウロキナーゼの気管内投与が、ブレオマイシンによる肺線維症の進展抑制に効果があったことより、肺線維症の治療に線溶系を応用することが可能であるとの示唆を得られたと考えている。今後は、遺伝子治療の利用も視野に入れて肺内の線溶系を賦活化する方法を模索し、肺線維症への治療応用を目指した研究を推し進めていく予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Shimizu, K. et al.: "Plasma leptm levels and cardiac sympathetic function in patients with obstructive sleep apnoea-hypopnoea syndrome"Thorax. 47. 429-434 (2002)
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[Publications] Sisson, TH. et al.: "Inducible lung-specific urokinase expression reduces fibrosis and mortality after lung injury in mice"Amencan Journal of Physiology-Lung cellular and molecular physiology. 283. L1023-L1032 (2002)
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[Publications] Kim, KK. et al.: "A plasminogen activator inhibitor-1 promoter polymorphism and idiopathic interstitial pneumonia"Molecular Medicine. (in press).
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[Publications] Ikeda, N. et al.: "Clinical significance of aminopeptidase N/CD13 expression in human pancreatic carcinoma"Clinical Cancer Research. (in press).
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[Publications] Hattori Y, et al.: "Vascular expression of matrix metalloprotemase-13 (collagenase-3) in basal cell carcinoma"Experimental and Molecular Pathology. (in press).
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[Publications] 服部 登: "線溶系-呼吸器疾患とのかかわり"分子呼吸器病. 6. 58-60 (2002)