2002 Fiscal Year Annual Research Report
タウ蛋白を介した細胞内シグナリングにより制御される痴呆脳神経細胞死の病態解析
Project/Area Number |
14370207
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
川又 敏男 神戸大学, 医学部, 教授 (70214690)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向井 秀幸 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (80252758)
小野 功貴 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 教授 (10243297)
前田 潔 神戸大学, 医学部, 教授 (80116251)
|
Keywords | アルツハイマー病 / 細胞内シグナリング / 神経細胞死 / 蛋白リン酸化酵素 / 蛋白脱リン酸化酵素 / タウ蛋白 / PKN |
Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)をはじめ前頭側頭型痴呆、皮質基底核変性症、進行性核上性麻痺など変性痴呆症(タウ病)の患者脳組織に生じる神経細胞死のメカニズムを解明し治療薬を開発するため、タウ蛋白の機能活性に影響する重要な修飾因子であるリン酸化状態を調節するPKN、PKCなど蛋白キナーゼと、calcineurin(CaN ; PP2B)、PP2Aなど蛋白フォスファターゼが、AD患者脳の変性神経細胞内で神経原線維変化上およびその周囲に共存するメカニズムを解析した。まずPKNのcDNAをサブクローニングし、Yeast Two Hybrid法により関連分子の同定を試みた。PKNの活性調節ドメインに相互作用するクローンから、全体で11700塩基対、3899アミノ酸、分子量約451kDの巨大分子Centrosomal and Golgi PKN anchoring protein (CG-NAP)が得られた。CG-NAP分子は腎臓等のほか神経組織に発現しており、PKN以外にもPKA、PKC、Casein kinase 1 (CK1)等の蛋白リン酸化酵素が結合し、またPP1、PP2A等の蛋白脱リン酸化酵素が結合するscaffold proteinであることが最近明らかになった。ここで、PKNをはじめとしてPKA、PKC、CK、あるいはPP1、PP2Aが、それぞれタウ蛋白をリン酸化、脱リン酸化する酵素であることは重要である。現時点でCaNとの相互作用はまだ明らかになっていない。次に、CG-NAPに対する特異抗体を作製し、ラット脳およびヒト死後剖検脳を用いて免疫組織化学法により同分子の脳組織・細胞内局在を検討した。その結果、CG-NAPは主として神経細胞に存在し、AD患者脳組織では変性神経細胞内部で顆粒状に、また細胞内神経原線維変化と共存することが明らかになった。
|