2004 Fiscal Year Annual Research Report
ナチュラルキラーT(NKT)細胞を標的とした動脈硬化症の新しい治療法の開発
Project/Area Number |
14370215
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤井 聡 北海道大学, 大学病院, 講師 (90291228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野江 和則 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (40002117)
岩渕 和也 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教授 (20184898)
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Keywords | 動脈硬化 / 骨髄由来細胞 / リンパ球 / NKT細胞 / マウス / CD1d分子 / 遺伝子 / サイトカイン |
Research Abstract |
われわれは既にNKT細胞が動脈硬化に促進性に働くことを、NKT細胞がうまく働かないCD1d欠損マウスやα-GalCerを投与してNKT細胞を活性化したマウスを用いて示してきた。また、NKT細胞が病巣に存在しているかを検討するため、α-GalCer反応性NKT細胞が発現するVα14Jα18のT cell receptor(TCR)再構成が、マウスの動脈硬化サンプルにおいて検出されることを示した。さらにNKT細胞がどのような機序により動脈硬化進展過程に関与しているかを検討し、腹腔マクロファージで酸化LDL添加によりCD1dの発現が亢進することを示してきた。今年度はα-GalCer投与によるNKT細胞の活性化は動脈硬化病巣中のコラーゲン含有量を約50%低下させることを見出し、NKT細胞の活性化は動脈病巣の範囲を拡大するのみならず病巣を破裂し血栓を形成しやすい不安定な性質にすることを示した。また、同様の現象が人で見られるかを検討した。健常人と狭心症患者で末梢血のNKT細胞を、フローサイトメトリー法を用いてCD3(+)CD4(-)CD8(-)でゲートしたTCR-Vβ11(+)Vα24(+)細胞(%)として計測した。狭心症患者では年齢や性をマッチさせた健常対照者に比べNKT細胞のレベルは有意に低下しておりNKT細胞活性化が、活性化誘発性細胞死によりNKT細胞減少をきたしていると考えられた。患者群では高脂血症、高血圧、糖尿病、喫煙という冠危険因子を3個以上有する患者では0-2個有する患者より有意にNKT細胞の減少は強く、危険因子の集積がNKT細胞の活性化をきたす可能性が示された。α-GalCerによるNKT細胞の活性化する機構をさらに検討しCD1dに提示されNKT細胞の活性化を制御する新規分子の開発を行い創薬につなげるためβ-GalCer(C12)などの異性体がNKT細胞の活性化を抑制することにより動脈硬化面積を縮小するかについて、高脂肪食を負荷したLDL受容体欠損マウスを用いて検討を重ねている。また慢性炎症が動脈硬化を促進する機構にNKT細胞が関与するかを検討するためapoE欠損マウスならびにNKT細胞に脂質抗原を提示するCD1dとapoEの両方が欠損したマウスにLPSを投与して動脈硬化病巣面積が変化するかを検討中である。
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Research Products
(7 results)