2002 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞機能不全におけるシグナル伝達と治療戦略に関する研究
Project/Area Number |
14370232
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
丸山 幸夫 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90004712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 修一 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (20274962)
矢尾板 裕幸 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (50264544)
石橋 敏幸 福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (00223024)
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Keywords | 血管内皮細胞 / 単球 / RhoA / 組織因子 / 酸化LDL / eNOS |
Research Abstract |
本課題は血管内皮細胞機能不全におけるシグナルを特に低分子GTP結合蛋白質Rho活性化の観点から解明し、内皮機能不全の治療戦略を検討したものである。本年度は血管内皮細胞への単球接着系における病態的意義と酸化LDLによる内皮不全の病態についての成果が得られた。 ヒト末梢血単球とヒト冠動脈由来血管内皮細胞との共培養系を用いて検討したところ、単球接着によりすみやかに(単球添加後15分)内皮細胞のRhoAが活性化した(pull-down法及び膜移行法により同定)。しかし、他の低分子GTP結合蛋白質のRacやCdC42の活性化は不変であった。同時に施行したプロモーターアッセイやWestern法により、単球接着は内皮細胞の組織因子発現を転写レベルで増強させた。RhoA活性化と組織因子発現との関連を明らかにするために、血管内皮細胞にドミナントネガティブRho遺伝子を導入しRhoを阻害したところ、単球接着による組織因子発現増強は完全に阻止された。以上のことより、単球接着による内皮細胞での組織因子発現増強にはRhoA活性化は必須であることが証明された。さらに、スタチンはゲラニルゲラニル化阻止を介しRhoA活性化を抑制することにより組織因子発現も抑えることがわかった。これらの結果はArteriscler Thromb Vasc Biol.に受理され本年5月掲載予定である。 酸化LDLは内皮細胞においてeNOS発現低下を誘導し、その調節は転写後であった。酸化LDLは1分以内に内皮細胞のRhoAを活性化し、C3 exoenzyme処理やドミナントネガティブRho遺伝子導入によりRhoA活性化を阻止すると、酸化LDL誘導によるeNOS発現低下は阻止された。これらのことより、血管内皮細胞のeNOS発現調節にRhoA活性化は重要であることが示された。これらの結果は本年の日本循環器学会総会Featured Research Sessionにて発表予定であり、今後RhoA活性化とeNOS mRNAの安定性との関連について検討を進め、RhoA活性化によるeNOS発現調節がさらに明らかになると思われる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Ishibashi T: "Integral role of RhoA activation in monocyte adhesion-triggered tissue factor expression in endothelial cells"Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol.. (in press). (2003)
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[Publications] Ishibashi T: "Inhibition of Rho/Rho-kinase signaling downregulates plasminogen activator inhibitor-l synthesis in cultured human monocytes"Biochim Biophys Acta. 1590(1-3). 123-130 (2002)
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[Publications] Nagata K: "Rho/Rho-kinase is involved in the synthesis of tissue factor in human monocytes"Atherosclerosis. 163(1). 39-47 (2002)
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[Publications] Li L: "Inhibitory effect of flurastatin on lysophosphatidylcholine-induced nonselective cation current in Guinea pig ventticular myocytes"Mol Pharmal. 62(3). 602-607 (2002)