2002 Fiscal Year Annual Research Report
細胞死誘導受容体を介する細胞内シグナル伝達機構の解析
Project/Area Number |
14370245
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
駒田 美弘 三重大学, 医学部, 教授 (80186791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 浩樹 三重大学, 医学部, 講師 (40252366)
東 英一 三重大学, 医学部附属病院, 助教授 (50211008)
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Keywords | アポトーシス / Fas受容体 / TRAIL受容体 / 白血病細胞 / 神経芽腫 / カスパーゼ |
Research Abstract |
白血病細胞におけるTRAIL受容体(DR4、DR5、DcR1、DcR2)、および神経芽腫細胞におけるFas受容体の発現の有無をフローサイトメトリーを用いて確認するとともに、それぞれの腫瘍細胞のTRAlL、Fasリガンド(FasL)添加培養によるアポトーシス細胞死誘導の有無、細胞内シグナル伝達分子(カスパーゼ-3、カスパーゼ-8、カスパーゼ-9、FADD)の発現を検索した。 白血病細胞においては、DR4、DR5の発現は検索した細胞の大部分(DR4陽性率:19/25、DR5陽性率:23/25)に認められたが、DcR1、DcR2は陰性であった。TRAILの添加による細胞死誘導は25例中7例に認められ、その全例がDR4、DR5陽性であったが、他の18例はTRAILによる細胞死誘導に耐性を示し、そのうち4例はDR4陰性、2例はDR4、DR5ともに陰性であった。DR4、DR5の発現強度とTRAIL感受性との間には関連性は見いだせなかった。また、TRAIL添加により誘導される細胞死は、Annexin VとPI染色より、アポトーシス細胞死であり、カスパーゼ-8の活性化をともなうことが確認され、細胞死誘導の強さとカスパーゼ-8の活性との間には正の相関関係が見られた。さらに、細胞内シグナル伝達分子であるカスパーゼ-3、カスパーゼ-8、カスパーゼ-9、FADDの発現はTARIL感受性細胞(7例)は全例陽性であった。しかし耐性細胞(18例)では、カスパーゼ-3:3例、カスパーゼ-8:6例・FADD:4例にてそれぞれ陰性であった。次年度においては、白血病細胞におけるTRAIL耐牲化機構をDISC形成の面から検討を加えるとともに、その克服方法について検討する予定である。 神経芽腫細胞においては、Fas受容体の発現は全例(21例)陽性であった。しかし、FasLによるアポトーシス細胞死誘導は2例に強く、5例に弱く認められ、他の14例は耐性を示した。また、Fas受容体の発現強度とFasLによるアポトーシス細胞死誘導との間には相関関係は認められなかった。細胞内シグナル伝達分子であるカスパーゼ-3、カスパーゼ-8の発現の有無の検索からは、カスパーゼ-3は全例陽性であったが、カスパーゼ-8は2例陽性、5例に分子量の小さなカスパーゼ-8分子(short-form caspase-8)が陽性、他の14例は陰性であった。このshort-form caspase-8は、C末を認識する抗カスパーゼ-8抗体によるウエスタンブロットでは検出されたが、N末を認識する抗カスパーゼ-8抗体には反応せず、カスパーゼ-8分子のN末領域の構造異常が示唆された。また、FasL刺激によるアポトーシスカスパーゼ-8の活性は、正常カスパーゼ-8分子を持つ細胞にて高い上昇を、short-form caspase-8を発現する細胞では弱い上昇を認めた。次年度においては、カスパーゼ-8遺伝子の塩基配列を決定し、short-form caspase-8に認められる遺伝子異常を明らかにしたい。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Higashigawa M, Komada Y: "Role of Ca2+ in intracellular signaling pathway of anti-IgM induced apoptosis in the human B cell line, MBC-1, established from Burkitt's lymphoma"Int Hematol. 76. 44-49 (2002)