2003 Fiscal Year Annual Research Report
細胞死誘導受容体を介する細胞内シグナル伝達機構の解析
Project/Area Number |
14370245
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
駒田 美弘 三重大学, 医学部, 教授 (80186791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 浩樹 三重大学, 医学部, 助教授 (40252366)
東 英一 三重大学, 医学部附属病院, 助教授 (50211008)
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Keywords | アポトーシス / Fas受容体 / TRAIL受容体 / 白血病 / 神経芽腫 / カスパーゼ |
Research Abstract |
白血病細胞における細胞死誘導に関与するシグナル伝達分子(FADD、カスパーゼ-3、カスパーゼ-8、カスパーゼ-9、FLIP、Bcl-2、XIAP)の発現パターンとTRAIL受容体を介した細胞死誘導に対する細胞感受性との関連性、およびFasリガンド添加によるアポトーシス細胞死誘導に対して低感受性を示し、short-formカスパーゼ-8を発現する神経芽腫細胞におけるカスパーゼ-8遺伝子の解析を行った。 TRAIL受容体(DR4/DR5)陽性B細胞系白血病細胞株(14株)を用い、細胞死誘導に関与するシグナル伝達分子の発現についてウエスタンブロッティング法により検討を加えた。TRAILの添加により細胞死誘導が認められた7細胞株においては、そのすべてが、FADD、カスパーゼ-3、カスパーゼ-8、カスパーゼ-9、FLIP、Bcl-2、XIAP陽性であったが、その発現量には各細胞間で差が見られた。他の7細胞株はTRAILによる細胞死誘導に耐性を示したが、1細胞株がBcl-2陰性であった以外は、感受性株と同様にすべてのシグナル伝達分子の発現を認めた。また、これらのシグナル伝達分子の発現強度とTRAIL感受性との間には関連性は見いだせなかった。しかし、TRAIL添加により誘導されるアポトーシス細胞死は、カスパーゼ-8の活性化をともなうことが確認され、細胞死誘導の強さとカスパーゼ-8の活性との間には正の相関関係が見られた。さらに、蛋白合成阻害剤(cycloheximide)の添加により、TRAIL感受性の増強(5細胞株)、あるいは耐性の消失(2細胞株)が認められた。 神経芽腫細胞31細胞株中5細胞株に発現するshort-formカスパーゼ-8の遺伝子解析では、遺伝子塩基配列の検索結果、エクソン3の欠損が5細胞株すべてに認められることが明らかとなった。この遺伝子異常により、カスパーゼ-8に存在する2つのDED(death effector domain)のうちのひとつが欠損する結果となっており、Fasリガンド添加により誘導されるカスパーゼ-8活性の低下に関与しているものと考えられた。 次年度では、蛋白合成阻害剤(cycloheximide)の添加によるシグナル伝達分子(FADD、カスパーゼ-3、カスパーゼ-8、カスパーゼ-9、FLIP、Bcl-2、XIAP)の発現パターンの変化と、白血病細胞におけるTRAIL耐性化機構におけるDISC(TRAIL受容体、FADD、プロカスパーゼ-8、active-formカスパーゼ-8、FLIP分子の複合体)形成のダイナミクスについて、共焦点顕微鏡を用いて解析し、細胞死感受性細胞と耐性細胞とを比較検討する。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Kisenge RR, Azuma E, Komada Y: "Expression of short-form caspase 8 correlates with decreased sensitivity to Fas-mediated apoptosis in neuroblastoma cells"Cancer Science. 94・7. 598-605 (2003)