2004 Fiscal Year Annual Research Report
細胞死誘導受容体を介する細胞内シグナル伝達機構の解析
Project/Area Number |
14370245
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
駒田 美弘 三重大学, 医学部, 教授 (80186791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 英一 三重大学, 医学部附属病院, 助教授 (50211008)
堀 浩樹 三重大学, 医学部, 助教授 (40252366)
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Keywords | アポトーシス / Fas受容体 / TRAIL受容体 / 白血病 / アポトーシス抑制分子 / カスパーゼ |
Research Abstract |
TRAIL(Tumor necrosis factor-related apoptosis-inducing ligand)受容体陽性B細胞系白血病細胞株を用いて、TRAIL分子によりアポトーシス細胞死を誘導した場合のDISC/Death-inducing signaling complex(TRAIL受容体、Fas-associated protein with death domain/FADD、procaspase-8、active-form caspase-8、FLICE-inhibitory protein/FLIP分子の複合体)形成のダイナミクスについて、共焦点顕微鏡を用いて解析し、細胞死感受性細胞と耐性細胞とを比較検討した。TRAIL受容体は、細胞死感受性細胞と耐性細胞いずれの細胞においても、TRAIL刺激により細胞内に取り込まれ、FADD分子の会合が見られた。しかし、active-form caspase-8のFADD分子への会合とその活性化は、感受性細胞においてのみ認められた。また、caspase-8に特異的抑制作用を有するZ-IETDの添加により、caspase-8の活性化、およびTRAILによるアポトーシス細胞死は完全に抑制された。以上より、TRAILによるアポトーシス細胞死誘導にはcaspase-8が活性化されることが必須であり、TRAILに対する耐性化は、caspase-8の活性化レベルにおけるシグナル伝達の抑制機序によることが示唆された。シグナル伝達分子の発現解析では、c-FLIPL_L分子は、細胞死感受性細胞と耐性細胞いずれにも発現しており、またTRAIL刺激により、速やかにその発現が低下した。さらに、TRAIL受容体陽性B細胞系白血病細胞株を用いて、蛋白合成阻害剤(cycloheximide)の添加による細胞死誘導シグナル伝達分子の発現パターンの変化、DISC形成のダイナミクスとTRAIL感受性の増強、あるいは耐性の消失について解析した。その結果、いくつかの白血病細胞株において、cycloheximideの処理により、caspase-8活性の増強、あるいは誘導とともに、TRAIL感受性の亢進や耐性化の減弱、消失が認められた。また、cycloheximide添加にともなう細胞死誘導シグナル伝達分子の発現パターンの変化に関しては、X-linked inhibitor of apoptosis(XIAP)発現の著明な低下が観察された。また、共焦点顕微鏡を用いたDISC形成の解析においても、cycloheximide処理により、active-form caspase-8のFADD分子への会合とその活性化の亢進が見られた。以上の結果より、B細胞系白血病細胞におけるTRAILによるアポトーシス細胞死誘導に対する耐性化は、XIAPを主とするアポトーシス細胞死抑制分子によりcaspase-8の活性化レベルにおいてシグナル伝達経路がブロックされることによることが示唆された。
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