2004 Fiscal Year Annual Research Report
マイトマイシンCの新規放射線還元型プロドラッグの生物効果
Project/Area Number |
14370276
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
芝本 雄太 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20144719)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西本 清一 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10115909)
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Keywords | マイトマイシンC / プロドラッグ |
Research Abstract |
当研究は、腫瘍中の低酸素細胞に特異的に作用する新しい作用機序の薬剤として、低酸素条件下の放射線照射によって活性化されるmitomycinC (MMC)のプロドラッグを開発し、基礎的に評価することを目的とした。MMCのプロドラッグの開発と並行して、5-FUと5-fluoro-2'-deoxyuridine (FdUrd)の放射線活性型プロドラッグの検討を行ったが、これらのプロドラッグがin vivoにおいても有効に活性化されることが判明した。しかし、in vivoの実験を追加した結果、臨床応用のためにはさらに強力な抗癌剤のプロドラッグ化が望ましいと考えられた。続いて5-FUやFdUrdよりも濃度基準ではるかに強力な抗癌剤であるMMCに対して、このプロドラッグ活性化機序を応用することを考え、MMCのN末端にアセトンを付けた化合物の合成を、香港科技大学の協力のもとに京都大学工学研究科において行った。合成した化合物はNMRスペクトロスコピーによって純度を確認した。予備的実験においては、このMMCのプロドラッグは照射を行わなくても低酸素状態にすることによって、分解することが判明した。これはMMCが生体内還元によって効果を発揮することと関係があると考えられた。有酸素および低酸素状態におけるこの化合物そのものの毒性(殺細胞効果)と、それぞれの状態でこの化合物に照射を行った場合の効果について検討したが、低酸素状態での特異的な放射線増強効果は認められず、担癌マウスを用いての実験は断念した。今後はMMC以外の化合物についても、このプロドラッグの概念の応用を検討すべきと考えられた。
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