2005 Fiscal Year Annual Research Report
血管内投与した遺伝子ベクターや抗癌剤を腫瘍細胞内に高濃度で集積させる新技術の開発
Project/Area Number |
14370278
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
黒田 昌宏 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (50225306)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清 哲朗 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (50335600)
|
Keywords | 蛍光顕微鏡 / 造影剤 / 遺伝子導入 / 化学療法 |
Research Abstract |
1 実体蛍光顕徴鏡観察を行うことにより経時的に腫瘍血行動態をとらえる動物実験システムを作成した。Skid、C3Hマウスにマウス腫瘍細胞FSa-IIを移植し、蛍光物質(Dextran, Oregon Green)の急速注入時の経時的な蛍光発現量の変化を観察した。蛍光発現量を20秒ごとの蛍光蓄積量として当科で開発した螢光顕微鏡システムを用いて経時的に測定した。蛍光物質の急速注入後、20-40秒後に腫瘍形成部の蛍光量はピークとなり、以後減衰した。造影剤を蛍光物質に添加した場合にも、蛍光量ピーク時間の変化は認めなかった。マウス尾静脈を介する急速ボーラス注入による腫瘍血行動態の実験システムは、尾静脈の狹小さからカテーテル留置により再利用することは不可能で、ラットの大腿静脈を用いたMS-653-A腫瘍細胞移植による実験システムについても検討している。 2 C3Hマウスにマウス腫瘍細胞FSa-IIを移植し、蛍光量がピークとなる20-40秒後にあわせてcyclophosphamide(CY) 250mg/kgの急速ボーラス注入後に、ピンセット電極を用いて遺伝子導入装置を用いて電気穿孔を行った。対照として、無処置群、CY単独、電気穿孔単独、電気穿孔後CY急速ボーラス注入群に分けて検討した。無処置群のTG50値は13日、電気穿孔単独では15日、CY単独では24日、電気穿孔後CY急速ボーラス注入群では26日、CY急速ボーラス注入後電気穿孔後群31日であり、電気穿孔とCY投与のタイミングを合わせることにより相乗効果がみられた。 3 蛍光蛋白enhanced green fluorescent protein(EGFP)ベクターの遺伝子導入については、使用したベクター注入濃度では、いずれの条件下でも螢光発現は検出できず、蛍光量による相乗効果の確認はできなかった。今後、より発現効率が高いベクターを用いた状態での相乗効果の検討が必要と思われた。 4 今後の人体応用に関しては、他の種類の抗癌剤についても検討を要するものの、抗癌剤動注療法自体はすでに留置カテーテルを介して現状で行われており、人体に対して腫瘍選択的な安全な電気刺激技術が確立できれば、相乗効果を期待でき、今後も検討を続ける予定である。
|
Research Products
(3 results)