2004 Fiscal Year Annual Research Report
ナノパーティクルを利用したがん内用放射線療法の研究開発
Project/Area Number |
14370285
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Research Institution | TEIKYO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
梅田 泉 帝京大学, 薬学部, 講師 (40160791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西郡 秀夫 帝京大学, 薬学部, 教授 (90050517)
荒野 泰 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (90151167)
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Keywords | ナノパーティクル / リポソーム / がん治療 / 内用放射線療法 / 配位子 / 細胞内分布 / 温度感受性 / イオノフォア |
Research Abstract |
本年度に得られた主な知見は以下の通りである。 1 リポソームに封入した放射性核種のリガンドによる体内動態・細胞内分布の違い:我々は同じリポソームに同じ核種を封入しても、核種に対するリガンドを変えると核種の組織分布が異なることを認めている。この現象を詳細に検討すべく、^<67>Ga-NTAあるいは^<67>Ga-EDTAを封入しリポソームを作成し、腫瘍組織と肝臓での投与後の放射性核種の細胞内分布を経時的に計測した。その結果いずれの組織でも、EDTAを用いた場合には、^<67>Gaはその大半が細胞質画分に存在し、経時的に減少していくのに対し、NTAを用いた場合には細胞質からミトコンドリア-ライソゾーム画分に移行し、結果的に細胞内に長く留まることを明らかにした。これは^<67>Ga-EDTAは結合親和性が高く、結合を保ったまま細胞外に出ていくのに対し、^<67>Ga-NTAは細胞内で離れ、ガリウムの性質によってライソゾームに移行・蓄積したためと推測された。内用放射線療法を目的とする場合、肝臓・骨髄・脾臓など正常組織への放射性核種の集積は厳に避けねばならず、従って、リガンドの選択は極めて重要な因子と考えられる。さらにこれを利用して、不要な核種を積極的に体外へ排泄させるストラテジーの構築も可能と考えられた。 2 体内残存放射活性の能動的除去:上記1より、腫瘍部位への十分な集積を確保した上で、体内に残る放射性核種を能動的に排泄させる系の構築を試みた。(1)血液循環中のキャリアを外部刺激によって壊し、中の核種を尿中に速やかに排泄させる。(2)キャリアをいったん肝臓に移行させ、肝臓から迅速に排泄されるリガンドデザインを行う、等の検討を行った。外部刺激として温度感受性リポソームやイオノフォアA23187等を利用することにより有望な知見が得られているが、一方で腫瘍集積性が大きく低下するなど、さらなる検討が必要である。
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