2002 Fiscal Year Annual Research Report
痴呆疾患の発症に及ぼす遺伝子変異の同定と機能解析に関する研究
Project/Area Number |
14370290
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
前田 潔 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80116251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 泰司 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00324921)
大川 慎吾 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00324913)
川又 敏男 神戸大学, 医学部, 教授 (70214690)
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Keywords | 痴呆 / ゲノム / シークエンス / プレセニリン / インフォームドコンセント / 倫理 |
Research Abstract |
1、痴呆ネットワークの構築についての成果 平成14年11月8日に「もの忘れ外来ネットワーク」と題して痴呆診療に取り組んでいる、あるいは老年期精神医療に興味をもつ兵庫県内の病院あるいは医院の代表者を集めた会議と講演会を開催した。会議では痴呆データバンクを神戸大学医学部を中心にして多数の施設を巻き込んだ形で構築することが決定され、遺伝子検査のための検体の処理法、運搬法、さらに解析する遺伝子の種類について具体的に議論された。 2、ヒトゲノムを取り扱う研究であることのインフォームドコンセントと検体採取の状況 平成14年5月に神戸大学医学部医学倫理委員会規定に基づき本研究の実施が学内で正式に認められた。承認された文書・形式を用いて説明と同意をとり、遺伝子解析に供する検体を採取している。 3、痴呆関連遺伝子のシークエンス解析の結果 プレセニリン1遺伝子において8個の塩基置換が見つかったが、すべて非翻訳領域にあって機能的変化には意味がないと思われるものであった。プレセニリン2遺伝子において12個の塩基置換が見つかり、そのうち10個は翻訳領域にあるがアミノ酸置換を伴なわないものや非翻訳領域にあって機能的変化には意味がないと思われるものであったが、2個が翻訳領域にありアミノ酸置換を伴なっていた。この2個の塩基置換について患者群と対照群の間で対立遺伝子の出現頻度に差があるかどうかを検討したところ有意な差が出た。つまり、アルツハイマー病の発症に関連していた。 4、遺伝子の機能解析の結果 翻訳領域にありアミノ酸置換を伴う変異について、cDNAをクローン化して細胞導入し、変異体の状態の観察とアミロイドβ蛋白の発現量やNotch signalingに及ぼす影響を調べたが、有意な所見を得ることはできなかった。つまり、機能解析研究では痴呆の発症に結びつくというデータは得られなかった。 今後さらにデータを増やして解析を続ける予定である。
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