2002 Fiscal Year Annual Research Report
有棘赤血球舞踏病遺伝子と精神疾患に関する研究―ヒト精神疾患とモデルマウスを通じて
Project/Area Number |
14370291
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
佐野 輝 鹿児島大学, 医学部, 教授 (30178800)
|
Keywords | 有棘赤血球舞踏病 / マウスCHAC遺伝子 / 有棘赤血球舞踏病モデルマウス / Ehime-欠失変異 / 精神障害 |
Research Abstract |
本年度においては、マウス有棘赤血球舞踏病遺伝子をクローニングし、有棘赤血球舞踏病モデルマウスの作製に着手した。すなわち、129系マウスES細胞に、コーディングExonである60番と61番ExonをNEOに置換した数十kbのCHAC遺伝子断片をを導入し、組み換えが行われたクローン細胞を作成した。さらに、このクローン細胞をC57-b1-b6系マウス胚に導入し、キメラマウスを作成した。キメラマウスをC57-b1-b6系マウスと交配させ、F1世代を得、F1同士の交配から遺伝子改変有棘赤血球舞踏病モデルマウスの誕生をみた。この有棘赤血球舞踏病モデルマウスは致死的ではなく、その後成長を続けている。今後、このモデルマウスの発病経過を病理学的検索や行動解析を通じて検討する。また、ヒトにおいては、我々の同定したEhime-欠失変異(60番と61番Exonを含む6kbの欠失変異)をヘテロ接合性に持つ保因者の中に、精神症状を呈する場合があることから、CHAC遺伝子と精神障害との関連を検討した。CHAC遺伝子Exon69には、GATのトリプレット繰り返し配列が存在するが、これがGAT繰り返し数に多型を示すことを明らかにした上で、上記Ehime-欠失変異と合わせて精神疾患のケースコントロール研究を行った。その結果、Ehime-欠失変異では気分障害患者では2名ヘテロ接合性に確認されたが、統計学的には有意ではなかった。GAT繰り返し多型では、痴呆で関連する傾向は見られたものの統計学的には有意ではなかった。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] K.Mihara, T.Kondo, A.Suzuki, N.Yasui-Funikori, O.Shingo, A.Sano, K.Koshiro, K.Otani, S.Kaneko: "Relationship between functional dopamine D2 and D3 receptors gene polymorphisms and neuroleptic malignant syndrome"Am. J. Med. Genet.. 117B. 57-60 (2003)
-
[Publications] K.Sakai, M, Nakamura, S.Ueno, A.Sano, N.Sakai, Y.Shirai, N.Saito: "The silencer activity of the novel human serotonin transporter linked polymorphic regions"Neurosci. Lett.. 327. 13-16 (2002)
-
[Publications] Sano A, Mikami M, Nakamura M, Ueno S, Tanabe H, Kaneko S: "Positional candidate approach for the gene responsible for benign adult familial myoclonic epilepsy"Epilepsia. 43 Suppl 9. 26-31 (2002)
-
[Publications] 鵜沼香奈, 細田能希, 佐野輝, 脇坂浩之, 斎藤正一郎, 小林直人: "ラット顔面神経切断後の顔面神経核内プロサポシン免疫反応の変化"愛媛医学. 21. 296-300 (2002)
-
[Publications] 佐野輝: "有棘赤血球舞踏病(Chorea-acanthocytosis)"遺伝子医学. 6. 437-443 (2002)
-
[Publications] 佐野輝: "有棘赤血球舞踏病(Chorea-acanthocytosis)"ゲノム医学. 2. 251-257 (2002)