2005 Fiscal Year Annual Research Report
PETによる気分障害患の病態と治療法の作用機序に関する研究
Project/Area Number |
14370296
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
須原 哲也 独立行政法人放射線医学総合研究所, 脳機能イメージング研究開発推進室, 研究員 (90216490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 善朗 日本医科大学, 精神医学教室, 教授 (20213663)
中山 和彦 東京慈恵医科大学, 大学院・精神医学講座, 教授 (70155878)
鈴木 和年 放射線医学総合研究所, 画像医学部放射薬剤製造開発室, 研究員 (90162932)
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Keywords | 抗うつ薬 / Positron Emission Tomography / 大うつ病 / セロトニントランスポーター / 占有率 / 反復性経頭蓋磁気刺激療法 / ドーパミンD2受容体 |
Research Abstract |
セロトニントランスポーター(5-HTT)をイメージングするため[^<11>C]DASBを用いて健常者を対象に、抗うつ薬fluvoxamine服用前、服用5時間後、26時間後、53時間後にPET検査を施行し、経時的に抗うつ薬による5-HTTの占有率を算出し、同時に血中濃度の経時変化を測定した。視床に関心領域を設定し、小脳を参照領域としてMultilinear reference tissue model法を用いて結合能を算出し、服薬前後の結合能の差を用いて抗うつ薬による5-HTT占有率を算出した。5-HTTの平均占有率は5時間後で約73%、26時間後で約50%、53時間後で25%であった。占有率の検討を行った時間内での血中濃度の半減期は約14時間であった。fluvoxamineの用量用法の決定の際には血中濃度のみならず脳内5-HTT占有率の検討も重要であることが示唆された。 大うつ病性障害の患者を対象に反復性経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)のドーパミン(DA)系への影響を測定した。検査期間中の服薬はfluvoxamine単剤とし、投与量は一定とした。rTMSは左側DLPFCに対し、1回のセッションにつきmotor thresholdの100%の強度で10Hzの刺激50発を30秒間隔で20回(合計で1000発)、全10セッション施行した。症状評価には、Hamilton Rating Scale for Depression (HRSD)とBeck Depression Inventory (BDI)を用いた。PET検査は患者9名中8名において初回rTMSの前と最終回rTMSの1日後の2回、健常者16名において1回施行した。ドーパミン放出能は[^<11>C]racloprideを用いて線条体におけるDAD2受容体結合能(binding potential ; BP)を求めて、競合阻害による結合能の変化の有無から検討した。rTMSによってHRSDは17.4±2.6点から10.4±6.0点に、BDIは20.7±6.6点から13.6±7.7点に減少し(HRSD,P=0.0018;BDI,P=0.022)、rTMSがうつ病の治療に有用である可能性が示唆された。しかし[^<11>C]racloprideのBPはrTMS前後の比較では有意な変化を認めなかった。先行研究では健常者のfrontal cortexに1回のみのrTMSを施行し、5分後にPETを施行したところ[^<11>C]raclopride BPが有意に減少したと報告されている。この結果と本研究の結果を比較して、rTMSに誘発されるDAの放出は一過性である可能性、またはrTMSを複数回重ねるうちDAの放出が減弱する可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)