2002 Fiscal Year Annual Research Report
組織幹細胞普遍的特性に関連する分子のクローニングと機能解析
Project/Area Number |
14370306
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大保 和之 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70250751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 松生 京都大学, 大学院・医学研究科, 助手 (60294138)
須田 年生 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (60118453)
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Keywords | 生殖幹細胞 / 造血幹細胞 / 細胞表面蛋白 / ニッシェ |
Research Abstract |
本研究を遂行していく上で、1細胞レベルまで純化されている造血幹細胞に対して、我々が遺伝子単離に用いている生殖幹細胞の、純化度の評価が必要であると考えた。そこでOct4/GFPマウスを用いて、幹細胞に特異性が高いと報告されている既知分子の発現の検討、形態学的に同定される生殖幹細胞とGFPでラベルされている生殖幹細胞の詳細な比較検討を行った。その結果、形態学的に均一と考えられてきた精原細胞が、GFP(Oct4)陰性及び陽性、c-Kit陰性及び陽性の組み合わせの4つに分画され、GFP陽性c-Kit陰性分画が最高の精巣再構築を示すことを精細管移植法にて明らかにした。以上の結果からGFP陽性細胞が幹細胞と考えてきたが、実際には、GFP陽性c-Kit陰性分画が幹細胞としての中心分画であることが明らかとなった。 本研究は、幹細胞維持に必須なニッシェ間との情報伝達の主役を勤める蛋白群で、かつ、異なる幹細胞システムで共用されている膜蛋白を調べることを目的としている。本年度、造血幹細胞、生殖幹細胞で共発現している2つの分子に絞り込んだ。塩基配列情報から、1つはセリンプロテアーゼインヒビター、もう1つは免疫グロブリンタイプ受容体型蛋白に属する蛋白であることが予測された。RT-PCR法での解析では、造血細胞では、もっとも幹細胞活性が高い、CD34陰性c-Kit陽性Sca1陽性分化抗原陰性分画で強く発現しており分化骨髄細胞では発現が失われていた。生殖細胞においては、新生仔期GFP陽性細胞のなかでも、上述したGFP陽性c-Kit陰性分画で強い発現が見られ、c-Kit陽性化により発現が減少していた。成獣での発現をそれぞれ検討しところ、セリンプロテアーゼは、腎臓と肺で、免疫グロブリンタイプ受容体は、肝臓と腎臓で発現していた。現在、この2つの分子の機能解析(過剰発現系、遺伝子欠損マウスの作出)を行っており、幹細胞における生物学的活性や、精子形成異常への関与を、来年度検討予定である。
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Research Products
(1 results)