2004 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子TELによる造血制御機構と白血病発症機構の解析
Project/Area Number |
14370308
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
三谷 絹子 獨協医科大学, 医学部, 教授 (50251244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和賀 一雄 獨協医科大学, 医学部, 講師 (00285917)
佐々木 光 獨協医科大学, 医学部, 助手 (60282638)
牧 和宏 獨協医科大学, 医学部, 助手 (50337391)
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Keywords | TEL / UT-7 / GM細胞 / ベンチジン / PPO / t(12;21) / TEL / AML1 / 白血病 / ドミナント・ネガティブ |
Research Abstract |
1.転写因子TELによる造血制御機構の解析 TELはマウス赤白血病細胞株MELの赤芽球分化を促進することを明らかにしている。本年度はTELが赤芽球/巨核球の分化に対して果たす役割をより生理的な条件で検討することを目的としてTELをヒト白血病細胞株UT-7/GMに遺伝子導入した。TELはEPOで誘導される赤芽球分化を促進し、TPOで誘導される巨核球分化を抑制した。すなわち、TEL発現細胞はEPOの存在下でより早期からより高率にベンチジン陽性となった。赤芽球分化に特異的なγグロビン、ALAS-EおよびEPO受容体mRNAの発現は亢進しており、glycophorin A(+)/glycoprotein IIb(-)分画はより早期に出現した。一方、TPO存在下ではglycoprotein IIbおよび血小板第4因子mRNAの発現が低く、glycophorin A(-)/glycoprotein IIb(+)分画およびPPO陽性細胞の出現が遅延した。内因性TELの発現は赤芽球および巨核球の分化過程の後期に消失した。TELは赤芽球/巨核球の分化の振り分けに役割があり、共通前駆細胞を赤芽球分化に誘導すると考えられた。 2.転写因子TELによる白血病発症機構の解析 小児pre-B細胞急性リンパ性白血病の約3割に観察されるt(12;21)の結果TEL/AML1キメラ遺伝子が形成される。TEL/AML1は野生型AML1に対してドミナント・ネガティブ効果を発揮し、B前駆細胞の分化を抑制することにより、白血病を発症させると考えられている。今回TEL/AML1の野生型TELに対する効果を検討した。TEL/AML1は野生型TELとヘテロダイマーを形成し、その転写抑制活性およびNIH3T3細胞に対する増殖抑制活性をドミナント・ネガティブに阻害した。t(12;21)型白血病の発症においては、がん抑制因子TELの機能的失活がワン・ヒットになっていると考えられた。
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Research Products
(9 results)