2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト胎児肺線維芽細胞の産生する新規サイトカインに関する研究
Project/Area Number |
14370309
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
東尾 侃二 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (20337603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 雅行 中外製薬株式会社, 創薬企画推進部, 研究員
島 伸行 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (30337604)
須田 立雄 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (90014034)
友保 昌拓 中外製薬株式会社, 創薬企画推進部, 研究員
小平 邦彦 中外製薬株式会社, 創薬企画推進部, 研究員
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Keywords | 巨核球 / 血小板 / 胞体突起形成 / proplatelet formation (PPF) / PPFコミットメント因子(PCF) / ヒト線維芽細胞 |
Research Abstract |
トロンボポエチン(TPO)は、巨核球(MKs)の増殖・分化に必須の因子であるが、血小板生成(thrombopoiesis)のprimary factorではないという多くの報告がある。MKsからの血小板放出に必須の過程である胞体突起形成(proplatelet formation,PPF)は短時間(1時間以内)で起こることから、PPF促進因子の直接的な関与というよりはMKsをMKsPPFに運命づける因子(PPF commitment factor,PCF)の存在の可能性が高いと考え、二段階からなる独自のアッセイ系の構築とPCFの探索およびその精製と構造解析を実施した。 1.アッセイ系の構築とPCFの探索 TPO存在下でMKsに分化する細胞株、UT-7/TPOを被検物質存在あるいは非存在下、10%FBSおよび5ng/mlTPOを含むIMDM中で48時間培養し(第一段階)、その前培養液(10μL)を10%ヒト血漿、10ng/mlTPOを含むDMEM(100μL)に加え、タイプIコラーゲンをコートした98穴プレートで短時間(2時間)培養後(第二段階)、MKs PPF数を計測するアッセイ系を構築した。本アッセイ系では既知のSCF,IL-3,IL-6およびATIIIは有意なPPF促進活性を示さなかったが、ヒト線維芽細胞IMR-90培養液のヘパリンクロマトバンクにPCF活性が検出された。 2.PCFの精製および構造解析 IMR-90培養液をHeparin CL-6Bカラムクロマトに負荷したところ、3つのPCF活性画分(ヘパリン親和性の弱い順からPCF-I,PCF-II,PCF-III)が得られた。それぞれについてQ-5PW,Heparin-5PWおよび逆相C4(又はC18)-HPLCで精製した。その結果、PCF-IおよびPCF-IIは精製が進むにつれてPCF-IIIに移行した。逆相クロマトからのPCF-III画分をSDS-PAGE(非還元下)に負荷し、ゲルスライスから活性を抽出したところ、PCF-IIIの分子量は約3,000前後であること、またPCF-IIIは還元に抵抗性で、トリプシンに感受性であった。ネガティブ染色により活性と一致するブロードなバンドをLC/MS/MS解析したがヒットするものはなかった。この原因としては、量的不足かデータベースにない因子のいずれかと考えられる。アミノ酸配列等による構造決定には、さらに量的な確保が必要である。低分子因子であることから、精製過程中の透析外液(<MW5,000)からPCF-IIIの大量精製を進めているところである。
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