2002 Fiscal Year Annual Research Report
分子病態としての赤血球膜における遺伝子発現調節と形質発現に関する分子電顕的研究
Project/Area Number |
14370311
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Research Institution | Kawasaki College of Allied Health Professions |
Principal Investigator |
八幡 義人 川崎医療短期大学, 介護福祉科, 教授 (70069011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 秀穂 川崎医科大学, 医学部(血液内科学), 助教授 (70191830)
定平 吉都 川崎医科大学, 医学部(病理学), 教授 (30178694)
藤原 芳朗 川崎医療短期大学, 介護福祉科, 講師 (70342293)
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Keywords | 赤血球膜異常症 / 溶血性貧血 / アンキリン / 遺伝子のメチル化 / 分子電顕学 / 赤血球膜蛋白質 / 遺伝子発現調節 |
Research Abstract |
本研究の主旨に沿って、本年度(平成14年度)は下記の研究を実施した。 (I)我が国における赤血球膜異常症症例の検索(八幡、和田、藤原):臨床系諸施設からの赤血球膜異常症18家系25症例について、その臨床病態の検索と臨床疫学的特性を明らかにした。 (II)上記症例について、赤血球膜病態を膜蛋白質の点から解析した(八幡、和田)。 (III)また、病因としての遺伝子分析を膜蛋白質関連遺伝子の立場から実施した(八幡、和田)。 (IV)遺伝子発現調節をgene methylationの立場から検討した(八幡、和田、定平、Doerfler、Remus)。 本年度は、特にankyrin遺伝子のpromoter領域に注目して検索した。 検索5'-CpG-3'41 sitesのうち、24 sitesは、promoter領域に存在し、次の6 sitesは第1 exon内に、残りの11 sitesはintron内に認められた。 これらの5'-CpG-3' sitesはヒト白血球からの抽出DNAではほとんどunmethylatedであるのに対して、HeLa細胞由来DNAでは70%に及ぶmethylationが認められ、これと共にpromoter活性は抑制されており、このmethylationを介して遺伝子発現が調節されている可能性があることを見出した。 (V)赤血球膜に関する研究業績の公表(八幡)。 赤血球膜の研究史、赤血球膜の正常状態(組成、膜構造、脂質、膜蛋白質、膜発生、遺伝子メチル化)、膜病態(遺伝性球状赤血球症、遺伝性楕円赤血球症など)に関して、わが国の特色を単著(Yawata Y : Cell Membrane : The Red Cell Membrane as a Model)としてドイツWiley-VCH社から英文刊行(pp 1-439)した。
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Research Products
(11 results)
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[Publications] 八幡義人: "わが国の溶血性貧血"第26回日本医学会総会誌. (印刷中). (2003)
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[Publications] Otsuki T, Yata K, Sakaguchi H, Kurebayashi J, Matsuo Y, Uno M, Fujii T, Eda S, Isozaki Y, Yawata Y, Yamada O, Wada H, Sugihara T, Ueki A: "Interleukin 10 abolishes the growth inhibitory effects of all trans retinoic acid (ATRA) on human myeloma cells"British Journal of Haematology. 116. 787-795 (2002)
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[Publications] 八幡義人, 八幡愛弓, 神崎暁郎, 上平賢三: "赤血球膜異常症と分子電顕学"電子顕微鏡. 37(2). 109-115 (2002)
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[Publications] 八幡義人: "遺伝性溶血性貧血"日本内科学会雑誌. 91(7). 2032-2043 (2002)
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[Publications] Yawata, Yoshihito: "Cell Membrane : The Red Blood Cell as a Model(単著)"Wiley-VCH(Weinheim, Germany). 1-439 (2003)
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[Publications] 八幡義人: "赤血球膜の構造・機能(分担:「内科学」)"文光堂(東京)(印刷中). (2003)
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[Publications] 八幡義人: "溶血性貧血(分担:「新臨床内科学」第8版)"医学書院. 1197-1203 (2002)
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[Publications] 八幡義人: "遺伝性球状赤血球症(分担:「血液疾患データブック」)"中外医学社(印刷中). (2003)
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[Publications] 八幡義人: "遺伝性球状赤血球症(分担:「今日の診断指針」)第5版"医学書院(東京). 1042-1045 (2002)
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[Publications] 八幡義人: "自己免疫性溶血性貧血(分担:「専門医を目指すCase Method Approach」)第3版:血液疾患)"日本医事新報社(東京). 40-50 (2002)
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[Publications] 八幡義人: "血清鉄、不飽和鉄結合能(UIBC)総鉄結合能(TIBC)、フェリチン「臨床検査ガイド2003-2004」"文光堂. 637-642 (2003)