2003 Fiscal Year Annual Research Report
腎尿細管の尿酸輸送体の同定と腎性低尿酸血症の遺伝子解析及び高尿酸血症治療薬の開発
Project/Area Number |
14370318
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
丹羽 利充 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教授 (20208268)
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Keywords | 尿酸 / トランスポーター / URAT1 / 腎性低尿酸血症 / 遺伝子解析 |
Research Abstract |
尿酸トランスポーター(urate transporter 1, URAT1)は、12回膜貫通型の分子で、ヒト腎臓に特異的に発現し、免疫組織学的検査で近位尿細管の管腔側に存在することが明らかになった。Xenopus laevis(アフリカツメガエル)卵母細胞発現系を用いた実験により、URAT1は尿酸を酵素反応速度論に基づく様式で輸送し、そのミカエリス定数は約370μMであった。URAT1は尿酸/アニオン交換輸送体であり、血中尿酸値を変動させる様々な薬物及び内因性アニオンと相互作用する。 URAT1の基質選択性は、ヒト腎臓由来の膜小胞を用いた過去の実験結果と一致し、URAT1が腎臓において尿酸再吸収を担う中心的輸送体であることを示唆した。URAT1の尿酸輸送は、probenecid、benzbromaroneなどの高尿酸血症治療薬によって阻害され、これら薬物の尿酸排泄促進のメカニズムに関与する分子であることが明らかとなった。高血圧治療薬であるIosartanは他のアンギオテンシンII受容体拮抗薬には認められない尿酸低下作用を持っているが、Iosartanとその体内代謝物質EXP-3174がURAT1の尿酸輸送を阻害することも明らかとなった。また結核治療薬であるビラジナミドは、その副作用として高尿酸血症が知られているURAT1を発現した卵母細胞に予めビラジナミドの代謝産物(pyrazinecarboxylic acid, PZA)を負荷しておくと、尿酸の取り込みが著明に上昇した。これによりPZAがURAT1における尿酸輸送の交換基質となり、尿酸の再吸収を促進(trans-stimulation)している可能性が示唆された。
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