2003 Fiscal Year Annual Research Report
ドプラ心弁信号と血管壁微小変位のデジタル解析を用いたヒト胎児循環機能評価法の開発
Project/Area Number |
14370322
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐藤 昌司 九州大学, 大学病院, 講師 (00225947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中並 尚幸 九州大学, 大学病院, 助手 (50343322)
月森 清巳 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (90253450)
中野 仁雄 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40038766)
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Keywords | 下行大動脈 / 脈波 / 心機能 / 等容性収縮期 / 脈圧 / 循環不全 |
Research Abstract |
【目的】胎児心循環不全例において、心収縮能低下あるいは心拍数異常に先行した心機能異常が捕捉され得るかに関して、動物実験から検証した。 【方法】(1)大動脈脈波波形の検討:羊胎仔6頭を用い、吸入麻酔下にドブタミンおよびアンギオテンシンIIを経静脈的に負荷し、大動脈脈波波形と左心室圧・胸部大動脈圧からMax dP/dt、Max dD/dt、末梢血管抵抗(SVR)およびAmp/EDD比を計測した。(2)等容性収縮期に関する検討:羊胎仔6頭を用い、ドーパミンおよびエスモロールを経静脈的に負荷し、左心室および上行大動脈の圧波形から真の等容性収縮期(true ICT)、Max dP/dt、および胎仔心弁ドプラ信号から得られるドフラ等容性収縮期(Doppler ICT)として測定して、true ICTおよびMax dP/dtの変化とドプラ等容性収縮期との相関を検討した。 【成績】(1)大動脈脈波波形の検討:ドブタミン投与により、Max dP/dtとMax dD/dtはともに上昇し、両者の間に有意な正の相関が認められた(r=0.88、p<0.05)。一方、アンギオテンシンII投与によりSVRを100%から350%へと変化させた際、胸部大動脈脈圧とAmpならびにAmp/EDD比との間に有意な正の相関が認められた(r=0.56,0.53、p<0.05)。(2)等容性収縮期に関する検討:ドーパミンおよびエスモロール投与により、Doppler ICTとMax dP/dtとの間に有意な負の相関が認められた(r=0.931、p<0.01)。true ICTとDoppler ICTの変化との間には高い正の相関を認めた(r=0.962)。 【結論】今回の成績から、等容性収縮期および下行大動脈脈波におけるMax dD/dtはともに心収縮能の指標であるMax dP/dtと、下行大動脈脈波AmpならびにAmp/EDDは脈圧の変化と高い相関を有することが明らかとなった。
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