2004 Fiscal Year Annual Research Report
脳の発達・機能に及ぼす甲状腺ホルモン作用の分子機構の解明
Project/Area Number |
14370324
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村田 善晴 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (80174308)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加納 安彦 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (50252292)
高岸 芳子 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (50024659)
妹尾 久雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (40135380)
鍋島 俊隆 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70076751)
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Keywords | 甲状腺ホルモン / ZAKI-4 / カルシニューリン / 脳 / 免疫組織化学 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
ZAKI-4遺伝子は、ヒトにおける甲状腺ホルモン応答性遺伝子として1996年に我々が初めて同定した遺伝子である。近年、ZAKI-4遺伝子がコードする蛋白、すなわちZAKI-4α、βは共に脳の発達・機能に重要な役割を演じているカルシニューリンの活性を阻害する蛋白であることが示された。そこで、本研究では、ZAKI-4遺伝子のノックアウトマウスを作製し、生体におけるZAKI-4の機能を明らかにすることで、脳の発達・機能におよぼす甲状腺ホルモン作用の分子機構の解明を試みた。平成16年度では、前年度までの研究を継続し、ZAKI-4βのノックアウトマウス作製に関しては、組換え遺伝子の生殖細胞への移行率が高いことが確認されているES細胞のゲノムにターゲティング遺伝子を組み込み、高いキメラ率を持つマウスを多数得た。現在、これらマウスの生殖細胞がターゲティング遺伝子を持つか否かを確認中である。また、ZAKI-4α、βの発現を共に欠くマウスをするためのターゲティングベクターの作製とES細胞での相同組換えも終了した。一方、本研究では、抗ZAKI-4抗体を作製し、ZAKI-4蛋白の脳での局在を免疫組織化学で解析した。その結果、ZAKI-4蛋白は、脳全体に広く存在し、特に、嗅球、海馬、大脳皮質、小脳などのニューロンで強く発現していることが示された。また、抗カルシニューリン抗体との2重染色により、ZAKI-4蛋白は、ニューロンの細胞体の辺縁と樹状突起でカルシニューリンと共存していることが明らかとなった。今回の研究により、これまでに報告された内因性のカルシニューリン活性阻害蛋白の中で、ZAKI-4は、脳で最も多く存在し、しかもカルシニューリンと共局在していることが示されたことから、ZAKI-4は脳における主要なカルシニューリン活性調節因子であることが示唆された。
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Research Products
(5 results)