2002 Fiscal Year Annual Research Report
三次元高精細画像観察によるポストレセプター異常検出システムの構築
Project/Area Number |
14370330
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高柳 涼一 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (30154917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河手 久弥 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (20336027)
大中 佳三 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (30325518)
後藤 公宣 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (90284512)
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Keywords | 核内受容体 / ステロイドレセプター / 共役因子 / 三次元画像 / アンドロゲン / GFP / ポストレセプター / イメージング |
Research Abstract |
本年度は高精細三次元画像解析システムを中心としてステロイド受容体の転写活性化プロセスを生細胞で観察できるシステムを構築することを目的として、以下の研究結果を得た。 (1)各ステロイド受容体/非役因子群と蛍光蛋白のキメラ蛋白の核内動態の解析:AR、GR、甲状腺ホルモン受容体(TR)、エストロゲン受容体(ERα, ERβ)PRARγのcDNAを緑色(GFP)、黄色(YFP)、青色(CFP)の各発現ベクターに組み込んだ。さらに、CBP、SRC-1、TIF2、AP-1サブユニット(fos、jun)、NF-κB、DRIP/TRAP複合体の構成成分であるDRIP100、TRAP100、TRAP220、TETC型複合体の構成成分のTRRAP、GCN5、また、RNAスプライシング因子(ANT-1)においても同様の蛍光キメラを作成した。これらを主としてCOS7細胞に導入、新しく構築したZEISS510METAを使った高精細三次元画像構築システムで観察し、互いの識別条件を設定した。これらの核内受容体や転写共投因子の互いのrecruitmentの有無や核内の詳細な位置、分布と数の定量を行った結果、核内受容体と転写共役因子はその種類によって、大きく3群にその核内コンパートメントが分かれることが明らかとなった。GRに代表される古典的なステロイドレセプターは核内で同一の約300個の微細な点(foci)として分布、TRは粗なfociとしてステロイドレセプターとは異なる領域に分布、PRARγなどのN末の短い核内受容体は核内と一致するものばかりでなく、核内全体に粗に分布しながら、コアクチベーター作用を示すことが明らかとなり、転写共役因子の生細胞での作用は「固まり」として機能するのではなく動的に複合体を形成して機能することが示唆された。今後、各分子について詳細な解析を進める予定である。 (2)高精度三次元解析システムにFRETを組み込んだシステムの開発と、本システムを使ったステロイド受容体と連結する共役因子結合順序の解析:新しく構築したZEISS510METAシステムにおいてCFP、YFPによるFRETシステムを構築した。さらに、核内の分子の動的観察を行うため、各核内受容体のFRAPによる観測条件を設定した。このFRAPシステムを用いることにより、以前DNAへの結合障害と推定されていたAR異常症がARの核内移行と核内分布の異常であることを証明することができた。この病態の解析は核内受容体の新たな細胞内移動機構の解明に繋がる可能性があり、さらに解析を進めている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nawata, H. et al.: "Molecular mechanisms underlying the action of environmental endocrinedisrupting chemicals"Environmental Sciences. 9. 57-70 (2002)
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[Publications] Takayanagi, R. et al.: "Dehydroepiandrosterone(DHEA) as a possible source for estrogen formation in bone cells : correlation between bone mineral density and serum DHEA-sulfate concentration in postmenopausal women, and the presence of aromatase to be enhanced by 1,25-dihydroxyvitamin D3 in human osteoblasts"Mechanisms of Ageing and Development. 16. 694-706 (2002)
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[Publications] Zhao, Y. et al.: "Activation Function-1 Domain of Androgen Receptor Contributes to the Interaction between Subnuclear Splicing Factor Compartment and Nuclear Receptor Compartment"J. Biol. Chem.. 277. 30031-30039 (2002)
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[Publications] Saito, M. et al.: "The presence of both the amino-and carboxyl-terminal domains in the androgen receptor is essential for the completion of a transcriptionally active form with coactivators and intranuclear compartmentalization common to the steroid hormone receptors : A three-dimensional imaging study"Mol Endocrinol. 16. 694-706 (2002)
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[Publications] 高柳 涼一: "核内ホルモン受容体異常症の原因とその病態"日本臨床. 60. 252-259 (2002)
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[Publications] 高柳 涼一 他: "リアルタイムイメージングによる核内受容体機能の解析と病態"最新医学. 57. 2227-2236 (2002)