2003 Fiscal Year Annual Research Report
低リン血症性ビタミンD抵抗性くる病の原因遺伝子の機能と病態に関する研究
Project/Area Number |
14370337
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田中 弘之 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (80231413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 良孝 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (60346442)
井上 勝 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (20253023)
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Keywords | 家族性低リン血症性ビタミンD抵抗性くる病 / PHEX / FGF23 / FGFR / PTH / cAMP / McCune-Albright症候群 / Fanconi症候群 |
Research Abstract |
家族性低リン血症性ビタミンD抵抗性くる病骨軟化症(XLH)の責任遺伝子であるPHEXの天然基質と、その機能を明らかにし、本疾患の病態を明らかにすることを目的に研究を行った。本年度は(1)本疾患におけるFGF23の役割の検討(2)FGF23はPHEXの天然基質となるか(3)FGF23の受容体は何か(4)FGF23の発現調節機構の検討を行った。既にPHEXの変異が同定されているXLH患者血清を用いFGF23濃度を測定したところ、健常者の比べ高値を示したが、その濃度には症例ごとに著しい相違が見られ、特に同一変異を有する患者間においても相違を示した。さらに、治療法や血清リン値、TmP/GFRなどとも相関を示すことはなかった。これらのことより、FGF23はPHEXの基質であるとは考えがたいとの結論に達した。このことはBIACOREを用いた結合実験でも明らかであり、PHEXの天然基質はFGF23の発現を調節する別の液性因子であると考えられる。 一方、同時に低リン血症を示す病態としてMcCune-Albright症候群とFanconi症候群においてもFGF23の測定を行った。この結果骨病変を有さないMcCune-Albright症候群ではFGF23濃度は正常であり、多発性線維性骨異形成が明らかとなった症例では高値を示した。FGF23濃度は血清リン値と逆相関をしめし、FGF23の発現はcAMPより始まる情報伝達によって制御されていることが示唆された。一方、腎尿細管の異常で低リン血症をきたすFanconi症候群ではFGF23はむしろ低値であった。FGF23の遺伝子発現調節機構を明らかにする目的で、FGF23を高発現する細胞系を確立し、同細胞用いPTH、cAMP系のFGF23 mRNA発現に対する影響を検討し、本系がFGF23の転写制御に関与していることが示された。また、生体内でもFGF23の発現を確認することは困難を極めたが、胸腺細胞に発現を認め、株化細胞同様PTH-cAMP系によるmRNA発現調節を確認した。しかし、FGF23遺伝子の上流1Kbをクローニングしルシフェラーゼアッセイを行ったが、cAMP応答性を確認することはできなかった。 FGF23の受容体に関しては現在検討中であるが、BIACOREを用いた結合ではFGFR1と2に結合するようである。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Shimizu J, Tanaka H, Aya K, Ito S, Sado Y, Seino Y.: "A missense mutation in the nephrin gene impairs membrane targeting."Am J Kidney Dis. 40. 697-703 (2002)
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[Publications] Yamanaka Y, Tanaka H, Koike M, Nishimura R, Seino Y.: "PTHrP Rescues ATDC5 Cells from Apoptosis Induced by FGF Receptor 3 Mutation."J Bone Miner Res. 18. 1395-1403 (2003)
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[Publications] Koike M, Yamanaka Y, Inoue M, Tanaka H, Nishimura R, Seino Y.: "Insulin-like growth factor-1 (IGF-1) rescues the mutated FGF receptor 3 (G380R)expressing ATDC5 cells from apoptosis through phosphatidylinositol 3-kinase and mitogen-activated protein kinase."J Bone Miner Res. 18. 2043-2051 (2003)