2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト肝組織からの肝幹細胞の分離・同定と肝組織再構築
Project/Area Number |
14370353
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
猪飼 伊和夫 京都大学, 医学研究科, 講師 (60263084)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上杉 毅彦 京都大学, 医学研究科, 助手 (20362494)
三高 俊広 札幌医科大学, がん研究所, 教授 (50231618)
山岡 義生 財団法人田附興風会, 医学研究所・北野病院, 院長 (90089102)
|
Keywords | 肝幹細胞 / ヒト小型肝細胞 / 肝前駆細胞 / 非実質細胞 / 1型コラーゲンシート / 共培養 / 類肝組織構築 |
Research Abstract |
肝幹細胞の分離・同定に関し、我々は昨年度までに細胞凝集塊形成による成体マウス肝からの肝幹細胞の分離法を確立した。本年度は同手法を用いて、成人ヒト肝組織からの肝幹細胞の分離を試みた。京都大学消化器外科において施行された肝切除症例のうち、インフォームド・コンセントが得られ、実験条件に合致した約20例について実験を施行した。約10グラムの肝組織を肝虚血前に採取し、コラゲナーゼ穿刺灌流により肝構成細胞を回収し、浮遊培養により細胞凝集塊を形成させヒト血清を加えた分化誘導培養液を用いて接着培養した。マウスにおいては同法により、高効率に肝幹細胞を分離可能であったが、ヒト検体から肝幹細胞を再現性よく分離することは困難であった。このため、ヒト肝幹細胞を分離するためには同細胞に対する特異的表面抗原の同定が不可欠であると考えられた。我々は昨年度までに、先の手法により得られたマウス肝幹細胞と成熟肝細胞との間でcDNAサブトラクション法により、同細胞に特異的に発現する表面抗原遺伝子の候補を17種同定したが、本年度は同遺伝子が実際に肝幹細胞に発現しているかどうかを胎児由来の肝幹細胞を用いて確認し、有望な遺伝子を3種までに絞り込んだ。今後はこの表面抗原に対する抗体を用いて肝幹細胞をソーティングするシステムを構築する予定である。肝組織再構築に関しては、昨年度までにラット小型肝細胞で得られた結果をもとに、肝切除症例から得られたヒト肝組織からヒト小型肝細胞を採取して実験を施行した。コラーゲンシート内にヒト小型肝細胞を非実質細胞と共培養することにより、胆管様および脈管様構造を有する類肝組織を構築することに成功した。これらの成果は人工肝臓の開発に大きく寄与することが期待される。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Toshitaka Hoppo: "Thy1-positive mesenchymal cells promote the maturation of CD49F-positive hepatic progenitor cells in the mouse liver"Hepatology. 38(In press). (2004)
-
[Publications] Shinji Baba: "commitment of bone marrow cells to hepatic stellate cells in mouse"Journal of Hepatology. 40(2). 255-260 (2003)
-
[Publications] Takahisa Fujikawa: "Purificaiton of adult hepatic progenitor cells using green fluorescent protein (GFP)-transgenic mice and fluorescence-activated cell sorting"Journal of Hepatology. 39(2). 162-170 (2003)
-
[Publications] Hisaya Azuma: "Enrichment of hepatic progenitor cells of adult mouse liver"Hepatology. 37(6). 1385-1394 (2003)
-
[Publications] Takakazu Matsushita: "Suppressed complement activation in human decay accelerating factor transgenic porcine liver cross-circulated with nonhuman primates"Transplantation. 75(11). 1807-1812 (2003)