2002 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞のケモカイン発現プロファイルに基づく樹状細胞遺伝子治療の開発
Project/Area Number |
14370357
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
辻谷 俊一 鳥取大学, 医学部, 助教授 (30188544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 亮 鳥取大学, 医学部附属病院, 助手 (90304211)
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Keywords | 樹状細胞 / ケモカイン / 遊走能 / 消化器癌 |
Research Abstract |
樹状細胞の各成熟段階におけるケモカイン受容体の発現と、炎症性ケモカインに対する未熟樹状細胞の遊走を確認するとともに、種々のがん細胞に対する未熟樹状細胞の遊走を比較検討した。 ケモカイン受容体の発現は、一般に報告されているものと同様に未熟樹状細胞ではCCR1,CCR5陽性、CCR7陰性であり、成熟樹状細胞にするとCCR1,CCR5の発現が抑制され、逆にCCR7の発現がみられた。これにより、炎症部位で産生されるケモカインに対して遊走し得る未熟樹状細胞が誘導できていて、さらに成熟刺激により、その能力を失いT細胞領域へ遊走し得る成熟樹状細胞の誘導が確認された。 樹状細胞の遊走能定量にはChemotaxis assayを行った。遊走刺激にはケモカインの種類や濃度、がん細胞の種類を変えて比較を行った。未熟樹状細胞の遊走はケモカイン濃度に依存的に増加する傾向がみられた。様々な食道癌,胃癌,大腸癌細胞株の培養上清を遊走刺激として用い、未熟,成熟樹状細胞の遊走を比較したところ、未熟樹状細胞でより多くの遊走がみられた。ケモカイン受容体の発現の違いによってがん細胞への遊走能が異なることから、がん細胞は未熟樹状細胞に発現しているケモカイン受容体に作用するケモカインを産生していることが考えられる。未熟樹状細胞でさらに多くの細胞株で遊走能を比較し、それらが産生しているケモカインを調べ、樹状細胞の遊走を誘起または阻害している因子を特定することや、がん細胞へ遊走した後の樹状細胞の抗原提示能を調べることにより、樹状細胞を用いたがん免疫療法の効果が高められることが期待される。
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