2004 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠・分娩による長期マイクロキメリズムと免疫寛容:移植への展開
Project/Area Number |
14370361
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
大戸 斉 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (20150279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾形 隆 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (70347235)
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Keywords | マイクロキメリズム / 妊娠 / Y染色体 / 免疫寛容 / HLA / 輸血 |
Research Abstract |
【研究の背景と目的】輸血がもたらす免疫修飾を誘導にドナー由来細胞の生着によるマイクロキメリズムが候補として考えられている。また、妊娠・分娩によってもマイクロキメリズムが母体とその児に成立し、特異的な免疫寛容が成立するといわれている。母体は児由来細胞に表現されている同種抗原に対して、同種免疫を獲得することもある。 【研究方法】 1.HLAクラスIIと男性Y染色体に存在するSRY遺伝子を標的としたマイクロキメリズム測定:異なるクラIIアリルとSRY遺伝子を標的としてnested PCR法を用いてマイクロキメリズム測定感度を高める。 2.妊娠女性と非妊娠女性におけるマイクロキメリズム検索 3.腎移植待機患者の同種免疫感作評価:リンパ球細胞毒性試験による。 4.母体同種免疫感作による新生児血小板減少症 【結果】 1.マイクロキメリズムの測定感度:SRY遺伝子を標的とすると、全血1mL中に存在する男性細胞1〜5個から検出しうる。HLAクラスII遺伝子を標的とすると、1mL中に15個ほど必要で、SRYを標的とするよりも感度が落ちる。 2.SRY遺伝子は非妊娠女性の37名中1名(2.7%)、男児妊娠経験女性の18名中15名(83%)に検出された。 3.腎移植待機患者693名中117名(17%)に同種HLA抗体を検出した。 4.24630人の妊婦中、223名(0.9%)が血小板抗体を産生した。 【考察】 HLAクラスIIを標的としたマイクロキメリズムの検出はSRYを標的とした場合と比較して、検出感度が約5〜10倍ほど低く、更なる検出感度の向上が必要である。SRY遺伝子を標的としてマイクロキメリズムの検出を行うと、妊娠女性の8割から検出され、児由来細胞の生着が起きていることが観察された。腎移植待機患者の同種免疫感作率は高く、輸血の関与が考察される。妊娠によって、0.9%の女性は胎児由来同種抗原に免疫応答を惹起する。
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Research Products
(2 results)