2002 Fiscal Year Annual Research Report
リポゾーム封入ヘモグロビンを用いた実験的治療に関する研究
Project/Area Number |
14370365
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
川口 章 東海大学, 医学部, 助教授 (30195052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木勢 佳史 東海大学, 医学部, 助手 (00276825)
灰田 宗孝 東海大学, 医学部, 助教授 (20208408)
田邉 晃久 東海大学, 医学部, 教授 (10119688)
猪口 貞樹 東海大学, 医学部, 教授 (60160008)
村山 千恵子 東海大学, 医学部, 講師 (50307295)
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Keywords | 人工赤血球 / 人工酸素運搬体 / ヘモグロビン / 心筋梗塞 / 脳梗塞 / 放射線治療 / 腹部臓器虚血 / 悪性腫瘍 |
Research Abstract |
試作した人工酸素運搬体(ナノレッドセル:NRC)を用いて申請時に予定していた実験に着手し、現在のところそれぞれの分野で以下の結果を得ている。 脳梗塞 ラットにて脳梗塞作成前後に体重当たり1%のNRCを投与すると、5分前に投与したものも5分後に投与したものも、24時間後に無投与対照群に比べて、大脳皮質、海馬、線条体で有意に脳浮腫の程度が抑制された。急性脳虚血時に梗塞周辺部に酸素供給する効果によるものと考えられた。目下、再還流モデルで実験を進めている。 心筋梗塞 ラットにて心筋梗塞作成前に体重当たり1%のNRCを投与した場合、左室収縮末期容積が増加し一回拍出量は減少するものの(梗塞効果)、無投与対照群に比べて左室収縮末期容積が小さく保たれ、一回拍出量は有意に大きく保たれた。急性心筋虚血時に梗塞周辺部に酸素供給する効果によるものと考えられた。目下、再還流モデルで実験を進めている。 放射線治療 担がんマウスに放射線照射するにあたって、照射30分前に体重当たり0.5%、1%、2%のNRCを投与して、照射後の腫瘍の成長速度を見たところ1%NRCが最も良い治療効果を示した。現在は、照射前の投与時間を変化させて治療効果を検討している。 腹部臓器虚血 ラットにて左胃大網動脈を閉塞させた後の腸管吻合部の治癒過程を検討している。体重当たり1%のNRCを投与すると、4日後に無投与対照群に比べて腸管吻合部の治癒が促進する傾向にあった。急性虚血時に創傷周辺部に酸素を供給する治療効果によるものと考えられた。目下、実験数を増加させるとともに投与量や投与時期の検討を進めている。
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