2003 Fiscal Year Annual Research Report
Wntシグナル伝達経路の制御による大腸癌肝転移治療法の開発-Axin遺伝子とTCFおとり遺伝子の導入をHVJ-Eを用いて行う-
Project/Area Number |
14370391
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岡島 正純 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (90274068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 章 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10204827)
浅原 利正 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70175850)
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Keywords | 大腸癌 / 転移性肝癌 / 遺伝子治療 / Wntシグナル / Axin / TCF |
Research Abstract |
(1)TCFおとり遺伝子に関して 最近、Wntシグナル経路において転写因子TCFはそのターゲットとなるpromoterに対し抑制的に働いていることが明らかとなりつつある。当初計画していたTCFおとり遺伝子を用いた方法は逆に腫瘍を増大させる方向に作用する可能性が示唆されたため、主にAxin遺伝子導入による腫瘍抑制効果の検討を行うこととした。 (2)ベクターの作成と培養細胞への導入 TCF結合配列がそのプロモーター部位にタンデムに組み込まれ、β-catenin/TCF依存性にルシフェラーゼが発現するベクターをもとに、ルシフェラーゼの代わりにrat Axin遺伝子を組み込んだ。このベクターを培養細胞に導入し、Axinタンパク質の発現を確認した。さらに培養細胞を用い、GSK-3βの阻害薬であるLiClやSB216763の刺激によってβ-cateninの細胞内での蓄積を確認し、さらにβ-catenin依存性のAxinの発現誘導を確認した。しかしながら恒常的にβ-cateninの蓄積が認められる腫瘍細胞株(ヒト大腸癌細胞株など)でのβ-catenin依存性Axin発現やさらにAxin発現によるβ-cateninの減少は明らかではなかった。現在、導入条件を検討中である。 (3)ラット肝転移モデルへの遺伝子導入 ラット大腸癌肝転移モデルにおいては、転移巣形成にばらつきがあり正確な評価が困難であった。そこでヌードマウスを用いて皮下に腫瘍細胞を接種して腫瘤を形成したモデルを用い、直接ベクターを投与し抗腫瘍効果の判定を行なった。さらに門脈内腫瘍投与による肝転移モデル作成を行なった。 (4)ヒト正常肝組織、原発性肝癌、大腸癌におけるWntシグナル伝達経路の解析 ヒト正常肝組織、原発性肝癌、転移性大腸癌などにおいて免疫染色を行い、β-cateninの蓄積の状態や、局在を確認した。さらにAxin発現も解析を行なった。また、β-cateninの蓄積が認められた症例に対しては、DNAを抽出し、direct sequenceを行ないWntシグナル伝達経路の構成因子であるβ-catenin、Axin、APCの変異の解析を行った。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Ikeda, S.: "Immunohistochemical and Mutationl Analysis of β-catenin, Ki-ras, and p53 in Two Subtypes of Colorectal Mucinous Carcinoma"Clinical Cancer Research. vol 9. 5660-5665 (2003)
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[Publications] Ishizaki, Y.: "Immunohistochemical analysis and mutationl analysis of β-catenin, Axin family and APC genes in hepatocellular carcinomas"INTERNATIONAL JOURNAL OF ONCOLOGY. (in press). (2004)
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[Publications] Yamamoto, H.: "Sumoylation is involved in beta-catenin-dependent activation of TCF-4"EMBO J.. 22. 2047-2059 (2003)
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[Publications] Kikuchi, A.: "Tumor formation by genetic mutations in the components of the Wnt signaling pathway"Cancer Sci.. 94. 225-229 (2003)
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[Publications] Oshita A.: "Identification and characterization of a novel Dvl-binding protein that suppresses Wnt signaling Pathway"Genes Cells. 8. 1005-1017 (2003)
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[Publications] Kishida, S.: "Wnt-3a and Dvl induces neurite retraction by activating Rho-associated kinase"Mol.Cell.Biol.. (in press). (2004)