2002 Fiscal Year Annual Research Report
グラフト吻合部狭窄進展機序の解明に関する研究―テネイシン-Cノックアウトマウスを用いての解析―
Project/Area Number |
14370409
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
小野田 幸治 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (70260601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 恭子(今中 恭子) 三重大学, 医学部, 講師 (00242967)
吉田 利通 三重大学, 医学部, 教授 (80166959)
矢田 公 三重大学, 医学部, 教授 (80093152)
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Keywords | テネイシン-C / グラフト吻合部狭窄 / 細胞外マトリックス / 内膜肥厚 / 動脈狭窄モデル / 免疫組織化学 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
1.Tenascin Cノックアウトマウスを用いて、腹部大動脈に同種同系大動脈移植を試みたがグラフト開存が困難であるため、動脈グラフト吻合部狭窄モデルとして、OGATA T, et al.: smooth muscle cell proliferation at the vascular anastomotic stricture in rat aortotomy model. J CARDIOVASC SURG 2001;42:753-7の文献を参考にして作成した。マウス腹部大動脈を長軸方向に長さ5mm程切開し、切開部を実体顕微鏡下に11-0ナイロン糸にて単結節にて吻合した。 2.上記手技を8〜12週齢のTenascin Cノックアウトマウスに施行。28日後に犠牲死させ、吻合部の新生内膜の形成を検討し、Tenascin Cの新生内膜形成への関与を明らかにすることとした。対照として、同様の手技をTenascin Cノックアウトマウスと遺伝的背景が同じBALB/c種にても行い、コントロール群とした。 3.組織学的検討では、28日後のコントロール群では切開部の新生内膜形成が顕著なのに対して、Tenascin Cノックアウトマウス群では新生内膜形成はほとんど見られなかった。内膜/中膜比の測定ではTenascin Cノックアウトマウス群で有意に低値であった。従って、Tenascin Cは新生内膜形成の初期段階におけるkey moleculeである可能性が示唆された。 4.今後の展開として、免疫組織染色にて切開部のα-smooth muscle actin、Tenascin Cの発現およびin situ hybridizationにてmRNAレベルにおけるTenascin Cの発現を検討する。また、アンギオテンシン-IIを介するTenascin Cへの作用を解明するために、アンギオテンシン-IIをTenascin Cノックアウトマウスに投与し、AT1およびAT2受容体の発現を検討する。
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