2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14370410
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 文啓 京都大学, 医学研究科, 講師 (10283673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮原 亮 京都大学, 医学研究科, 助手 (20335285)
柳原 一広 京都大学, 医学研究科, 助手 (70332731)
和田 洋巳 京都大学, 医学研究科, 教授 (90167205)
池中 一裕 国立岡崎共同研究機構, 生理学研究所・神経情報部門, 教授 (00144527)
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Keywords | 糖蛋白 / 糖鎖 / RECK / 肺癌 / 転移 / 血管新生 / 予後因子 / フコース |
Research Abstract |
原発性肺癌における糖鎖の系統的解析を行い、以下の点を明らかにした。 1、肺癌において正常肺組織と比較して極めて発現の低下している糖鎖を見出し、その糖鎖構造を探索したところRECKとしてすでに同定されていた糖蛋白糖鎖であることを見出した。RECKは細胞表面に存在して、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)を制御して、癌の転移・浸潤や血管新生に関与することが基礎実験から明らかにされている。 2、そこでRECKの発現に焦点を当てて更に詳細な解析を行なったところ、RECKの発現は正常気管支上皮細胞株に比べて肺癌細胞株で、また正常肺組織に比較して肺癌組織部分では、遺伝子発現および蛋白発現ともに顕著に低下していた。また、肺癌の中でもRECKの発現が比較的保たれている肺癌組織においては血管新生が有意に抑制されており(血管内微小密度はRECK陽性症例157に対してRECK陰性症例195,P=0.008)、かつ切除術後の予後も有意に良好であった(5年生存率はRECK陽性症例75.8%に対してRECK陰性症例54.3%, P=0.016)。 3、以上の知見は、原発性肺癌においてRECKがその転移・浸潤と密接に関与し、RECKが有意な予後因子となりうると同時に、原発性肺癌治療における新たな分子標的となりうる可能性を示唆している。来年度にはMMPとの関係などについて更に検討するとともに、RECKを用いた腫瘍伸展抑制力可能か否かの検討も実験的に行なう予定である。 4、そのほかに、肺癌に重要な役割を果たしている可能性がある糖鎖として、3本のガラクトース付加N-アセチルグルコサミンの非還元末端の一つにフコース側鎖を有するA3G3FO、という糖鎖構造を見出した。本構造は肺癌組織において発現の亢進がみとめられ、来年度に更にその詳細の検討を行う予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Tanaka F. et al.: "Expression of angiopoietins and its clinical significance in non-small cell lung cancer"Cancer Research. 62. 7124-7129 (2002)
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[Publications] Tanaka F. et al.: "Apoptotic tumor-cell death in response to cell proliferation is influenced by p53 status in resected non-small cell lung cancer"Lung Cancer. 36. 27-32 (2002)
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[Publications] Tanaka F. et al.: "Correlation between apoptotic index and angiogenesis in non-small cell lung cancer (NSCLC) : comparison between CD105 and CD34 as a marker of angiogenesis"Lung Cancer. 39. 289-296 (2003)
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[Publications] Shoji T, Tanaka F. et al.: "Clinical significance of p21 expression in non-small cell lung cancer"Joural of Clinical Oncology. 20. 3865-3871 (2002)
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[Publications] Nakagawa T, Tanaka F. et al.: "Prognostic value of thymidylate synthase expression in patients with p-stage I adenocarcinoma of the lung"Lung Cancer. 35. 165-169 (2002)
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[Publications] Katakura H, Tanaka F. et al.: "Clinical significance of nm23 expression in resected pathologic stage I, non-small cell lung cancer (NSCLC)"Annals of Thoracic Surgery. 73. 1060-1064 (2002)