Research Abstract |
(1)心臓への心筋細胞移植の安全性を評価するため,ブタ心へ細胞浮遊液を局所投与した際の心機能への影響をPressure-volume(PV)計測にて評価し,ブタ心においては10mlまでの投与では急性期心機能への影響を認めないことを明らかにした.また,ラットDoxorubicin拡張型心筋症(DCM)モデルを使った不整脈誘発実験では,DCM心では正常心よりventricular fibrillation threshold(VFT)が低下するが,DCM心と細胞移植を行ったDCM心との間にはVFTに差はなく,細胞移植が不整脈を誘発しないことが示された. (2)内在性幹細胞による心筋再生を誘導する目的で,GFPキメラマウスを使ったDCMモデルや急性心筋梗塞(AMI)モデルに対し,顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)の効果を報告してきたが,心臓病巣に集積し心筋分化する骨髄細胞(BMC)の数は,G-CSF投与により増加を認めるもののその割合は依然5%程度と非常に少ないことが明らかとなった.そこで,マウス心筋細胞を培養しG-CSFを投与すると,増殖速度が促進した.更にヒトのDCM心,AMI心,正常心で心筋細胞を抗G-CSF受容体(G-CSFR)抗体で染色すると,正常心ではG-CSFR陰性であるがDCM心やAMI心の境界領域ではでG-CSFRが陽性であることが確認された.更にヒトDCM心を培養しG-CSFを投与すると,総細胞,Ki-67かつトロポニンI陽性細胞数の増加が促進された.したがって,G-CSFはBMCの心筋への集積を促進するとともに病巣部心筋細胞へも直接作用して心筋再生を誘導する可能性が示唆された.
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