2002 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内加温に伴い誘導される脳腫瘍免疫増強効果機序の解析
Project/Area Number |
14370430
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
若林 俊彦 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教授 (50220835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 純 名古屋大学, 大学院・医学系研究所, 教授 (40158449)
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Keywords | 温熱療法 / マグネタイト / 脳腫瘍 / リポソーム / 免疫誘導 / ヒートショックタンパク |
Research Abstract |
1)脳腫瘍細胞への導入効率向上のための正電荷リポソーム包埋マグネタイトの作製 正電荷リン脂質膜で被覆したマグネタイトは脳腫瘍に高率に細胞内導入効率が向上することが判明しており、この正電荷脂質包埋マグネタイト(MCL)の応用により脳腫瘍標的細胞への特異性を高めることが実証されている。核には磁性酸化鉄であるマグネタイト(Fe3O4)を用い、これをフォスファチジルコリン・ジラウロイル(DLPC)、フォスファチジルエタノールアミン・ジオレオイル(DOPE)、N-(a-トリメチルアンモニオアセチル)-ジドデシル-D-グルタメート(TMAG)を重量比で2:2:1になるように混合した正電荷リン脂質膜で被覆した。このようにして得られたMCLは生体への適合性と細胞への導入効率がどの程度かを各脳腫瘍細胞毎に詳細に検討し、その特異性やマグネタイトの導入量の変化を具体的に算定し、細胞内加温による熱量計算を行った。 2)担癌(皮下腫瘍モデル)ラットへの投与 担癌ラット(皮下腫瘍モデル)への投与量としては、マグネタイト量(Fe3O4)として5mg/ml PBSを400μlとなるように腫瘍内に投与する。Fisher 344 rat(メス6週齢)の左大腿部基部に可移性株化されたT-9 rat glioma cell lineを1x10^6個を注入移植後、生着し増殖が確認される14日目以降に同一部位から脳腫瘍生着組織内にMCLを投与使用する。その直後より、1日1回、1回30分高周波磁場処理を24時間間隔で3回繰り返し(温熱処理)施行。その後、経時的に腫瘍組織を周辺組織と一塊にして摘出し、HSP-70の発現、壊死像の範囲、マクロファージの浸潤、各種リンパ球の集積や樹状細胞の集積を病理組織学的に観察した。 3)担癌く脳腫瘍モデル)ラットへの投与 担癌ラット(脳腫瘍モデル)への投与量としては、マグネタイト量として10μmol-Fe/kg-body weightとなるように投与する。Fisher 344 rat(メス6週齢)の右前頭葉に定位脳手術法を用いて可移性株化されたT-9 rat glioma cell lineを1x10^5個を注入移植後、生着し増殖が確認される3週間以降に同一部位から脳腫瘍内にMCLを投与使用する。ラット(120g体重平均)1匹に対して微量持続注入ポンプより投与する量は各々最大量20μlとなる。その直後より、1日1回、1回30分高周波磁場処理を24時間間隔で3回繰り返し(温熱処理)施行。その後、経時的に腫瘍組織を周辺正常脳組織とを一塊にして摘出し、HSP-70の発現、壊死像の範囲、マクロファージやマイクログリアの浸潤、リンパ球の集積を病理組織学的に観察するとともに、周辺脳の非特異的免疫反応が発現しているかを観察した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T Ohno, T Wakabayashi, et al.: "Effective solitary hyperthermia treatment of malignant glioma using stick type CMC-magnetite. In vivo study"Journal of Neuro-Oncology. 56. 233-239 (2002)
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[Publications] 若林俊彦他: "磁性微粒子を用いた細胞内温熱療法の検討"脳腫瘍の研究と治療(九州大学出版会). 1. 493-496 (2002)
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[Publications] 若林俊彦他: "マグネトリポソームを用いた温熱免疫療法"高倉公朋(監修)先端医療シリーズ18・脳神経外科先端医療技術研究所. 398 (2003)