2002 Fiscal Year Annual Research Report
胎児性幹細胞(ES細胞)由来神経幹細胞移植による神経再生
Project/Area Number |
14370436
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Research Institution | Kagawa Medical School |
Principal Investigator |
松本 義人 香川医科大学, 医学部, 助手 (80311827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河井 信行 香川医科大学, 医学部, 講師 (40294756)
國塩 勝三 香川医科大学, 医学部, 助教授 (50273983)
長尾 省吾 香川医科大学, 医学部, 教授 (60100947)
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Keywords | ES細胞 / コリン作動性細胞 / 神経幹細胞 / アルツハイマー病 / 移植治療 / 内側中隔核 / ChAT / 海馬 |
Research Abstract |
マウスES細胞を培養し、それにGreen fluorescent protein(GFP)遺伝子を導入し、このES細胞あるいは、このES細胞より分化誘導した神経前駆細胞、神経幹細胞を動物に移植後もこれらの細胞を追跡できるように工夫した。 ES細胞より、embryoid bodyと呼ばれる、より分化させた状態を経て神経幹細胞を多く含むneurosphereという状態に分化させた。このneurosphereを作成するさいにも、あらゆる培養条件を試し、必要とするニューロンをより多く産生できるような条件を見出すことができた。 これらの技術により、まず、コリン作動性ニューロンを多く含むneurosphereをES細胞を分化誘導して作成した。このneurosphereをイボテン酸と言う神経毒をマウスの内側中隔核に投与して作成した記憶障害モデルの海馬CA1に移植した。移植後1ヵ月後に水迷路テストを用いて、コリン作動性ニューロンを多く含むneurosphereを移植したマウスでは、記憶障害の回復が確認した。さらに移植した細胞の免疫組織学的検討も加えた。移植した細胞は、海馬内で神経細胞のマーカーであるHu抗体、コリン作動性ニューロンのマーカーであるChAT抗体、さらに神経回網の形成のマーカーとしてのsynaptophysin抗体などが陽性となり、神経幹細胞移植による記憶機能の回復が示唆された。さらに胎仔マウスの未熟な神経細胞や成体マウスの脳室壁近傍部より神経幹細胞を実体顕微鏡下で取り出し、それらをあらゆる培養条件を試し、これらからもneurosphereを作成する技術を習得した。やはり、これらも記憶障害マウスの海馬に移植し、機能回復が認められることを確認した。
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