2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規プロスタグランジンE_2合成酵素の骨吸収性病態への関与とその阻害剤の臨床応用
Project/Area Number |
14370452
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 基 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (00272584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 浩 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (40282660)
星 和人 東京大学, 医学部附属病院, 寄附講座教員(客員助教授) (30344451)
中村 耕三 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60126133)
村上 元昭 東京大学, 医学部附属病院, 助手
原 由紀則 東京大学, 医学部附属病院, 医員
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Keywords | プロスタグランジン / 骨 / 破骨細胞 / 関節炎 / ノックアウトマウス / 骨吸収 / 炎症 / 疼痛 |
Research Abstract |
我々は昨年までの検討で、膜型プロスタグランジンE_2合成酵素-1(mPGES-1)ノックアウトマウスの解析を行い、生理的条件下では明らかな異常を認めないことを明らかにした。本年度は、病的な条件下における骨組織の異常についての解析を行った。 まず、酢酸腹腔内投与による疼痛刺激に対してKOではライジング回数がWTの約1/5に減少した。また、木綿糸背部皮下移植後の肉芽形成および血管新生はWTに比べて約50%に減少していた。そこで、コラーゲン抗体カクテル投与によって関節炎を誘発したところ、KOでの四肢関節炎スコアがWTの約40-50%に減少した。関節炎による膝関節周囲の骨密度の減少率はWTでは20%であったがKOでは12%にとどまっていた。骨組織形態計測では破骨細胞数(N.Oc/B.Pm)および吸収表面積(ES/BS)がKOでWTの50-60%に減少していた(すべてp<0.01)。一方、卵巣切除モデルおよび尾部懸垂モデルを作成してWTとKOの間で比較検討したが、骨密度および骨組織形態計測値とも有意な差はなかった。以上より、mPGES-1は、疼痛、炎症のみならず炎症性骨破壊に重要な役割を果たすことが明らかとなった。mPGES-1の欠損は生理的条件下では異常を示さないことより、mPGES-1阻害剤は従来のNSAIDsに比べてより特異性が高く副作用の少ない消炎鎮痛剤・抗リウマチ剤となる可能性が示された。以上の結果は、Journal of Biological Chemistry誌に掲載された(J Biol Chem 279:33684-33695,2004)。
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Research Products
(4 results)