2005 Fiscal Year Annual Research Report
新規プロスタグランジンE_2合成酵素の骨吸収性病態への関与とその阻害剤の臨床応用
Project/Area Number |
14370452
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 基 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (00272584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 浩 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (40282660)
星 和人 東京大学, 医学部附属病院, 客員助教授 (30344451)
中村 耕三 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60126133)
村上 元昭 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (50396751)
原 由紀則 東京大学, 医学部附属病院, 医員 (30396741)
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Keywords | プロスタグラジン / 骨 / ノックアウトマウス / 骨折治癒 / 変形性関節症 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に引き続いて膜型プロスタグランジンE_2合成酵素-1(mPGES-1)ノックアウトマウス(KO)の病的条件下における骨組織の解析を行った。 まずは、脛骨骨折モデルを作成した。WTは、術後2週で旺盛な仮骨の形成がみられ、3週で全例骨癒合した。骨折組織中のmPGES-1 mRNA発現は、術後1週をピークに発現亢進がみられたが、cPGESとmPGES-2の発現は一定であった。mPGES-1蛋白の発現は、軟骨組織や骨膜近傍の線維性骨部分にみられた。KOに骨折を作成したところ、仮骨の形成が小さく、半数が骨癒合しなかった。仮骨面積・仮骨骨量を定量化したところ、KOでは有意に減少していた。組織学的解析では、KOはWTに比較して仮骨部の軟骨組織の形成が著明に小さかった。術後1週での軟骨組織の免疫染色を行ったところ、細胞増殖を示すBrdU陽性細胞数はKOで抑制されていたが、軟骨細胞の肥大分化を示すX型コラーゲンの発現やアポトーシスを示すTUNEL陽性細胞数の割合にWTとKOで明らかな差はなかった。肋軟骨より採取した初代軟骨細胞の培養による細胞増殖能の検討では、KOはWTに比し有意に増殖能が落ちていた。術後2日目にKOの骨折部にmPGES-1アデノウィルスを局所注射してmPGES-1を再導入したところ、KOで抑制されていた仮骨の形成がWTと同程度まで回復した。次に、変形性膝関節症モデルを解析した。術後14週で、X線学的・組織学的に観察し、スコアリングを行い関節軟骨の変性の程度を比較してみたが、WTとKOで明らかな差はみられなかった。以上より、mPGES-1阻害剤は、従来よりも副作用の少ない消炎鎮痛剤となる可能性が高いが、骨折患者への投与は慎重を要すると考えられた。
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Research Products
(2 results)