2002 Fiscal Year Annual Research Report
膝前十字靭帯損傷に対する低出力超音波治療の応用とその作用機序の解明
Project/Area Number |
14370463
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
黒坂 昌弘 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70170115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土井田 稔 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (60237170)
山本 哲司 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (80220482)
吉矢 晋一 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00201070)
松井 允三 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (60304094)
藤岡 宏幸 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10252777)
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Keywords | 膝前十字靭帯 / 低出力超音波 / Tenomodulin / GDF-5 |
Research Abstract |
予備実験として低出力超音波を犬の靭帯由来細胞に照射し靭帯の主要コラーゲンであるI型、III型コラーゲン遺伝子の発現を検討した。超音波は、偽関節治療に臨床上用いられているものと同条件で照射し、24時間後に細胞を回収しRT-PCR法を用いてコラーゲン遺伝子の発現量を半定量した。また骨格筋由来細胞が、骨芽細胞、脂肪細胞等の他の細胞系への多分化能を持つということから、犬骨格筋由来細胞が靭帯細胞系への分化能を持つ可能性がないか、同様に低出力超音波を照射しI型、III型コラーゲン遺伝子の発現を検討した。その結果、各々の細胞は超音波を照射する以前より強くI型、III型コラーゲンを発現しており、超音波刺激ではコラーゲン遺伝子の発現量の違いに相違がないことが判明した。I型、III型コラーゲンは靭帯の主要な構成成分であるが、靭帯に特異的なものではなく繊維芽細胞様細胞では恒常的に発現しているものと推察された。そこで、より靭帯での発現特異性の高い物質であるTenomodulinの遺伝子発現を同様の実験系で検討したところ、骨格筋由来細胞の超音波照射群にて非照射群に比較し軽度の発現量の増加を認めた。更にこの骨格筋由来細胞を用いた実験系に、アキレス腱治癒を促進すると報告されているGrowth Differentiation Factor 5の刺激を加えて同様にTenomodulin発現量を解析したが、発現量に顕著な差異は見られなかった。以上、靭帯細胞が繊維芽細胞様の細胞である点からコラーゲン発現量を比較検討するには、その差異が大きくないと困難であるが、靭帯に特異性の高いTenomodulin等の発現検討を行っていくのは靭帯再生を検討するという観点からは非常に有意であると思われた。また、今回GDF-5の刺激ではTenomodulin発現量に差は見られなかったものの、その可能性に関しては更なる検討を要する。
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