2003 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄・脳イメージング法(fMRI)による客観的な疼痛評価法の開発―整形外科疾患を対象として―
Project/Area Number |
14370467
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
植田 わ佐 高知大学, 医学部, 教授 (00033283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福本 光孝 高知大学, 医学部附属病院, 講師 (40274386)
牛田 享宏 高知大学, 医学部附属病院, 助手 (60304680)
谷 俊一 高知大学, 医学部, 教授 (90136250)
牛田 明夫 徳島文理大学, 工学部, 教授 (20035611)
田中 茂樹 仁愛大学, 人間学部, 助教授 (70340031)
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Keywords | 神経因性疼痛 / 仮想疼痛刺激 / fMRI / アロデニア |
Research Abstract |
末梢組織から発生した痛みは一次感覚線維、脊髄で修飾を受け、最終的には脳で認知される。すなわち、整形外科疾患においても脳の役割を理解することが重要と考えられる。そこで我々はFunctional MRI (fMRI)、を用いて整形外科疾患の痛みに伴う脳活動について研究を行った。 1)機械的侵害刺激に伴う脳活動部位 手にアロデニアを有する神経因性疼痛患者の患部をタッピング刺激し、fMRIを用いてその際の脳活動部位を検出した。その結果、体性感覚野、帯状回など健常者に機械的侵害刺激を加えた場合と類似した部位の活動が観察され、このことは痛みに伴う脳活動をfMRIが捉えたものと考えられた。一方、患者群では視床の活動性は検出されなかったことから、疼痛の慢性化により脳が可塑的変化を引き起こしている可能性が考えられた。 2)仮想疼痛経験に伴う脳活動 整形外科の慢性痛においても少なからず心理的要素が加味され、患者を煩わせているものと考えられる。そこで手にアロデニアを持つ患者に実際に疼痛部位に刺激を加えず、視覚的に痛い部位を触られるビデオを見せることで痛み刺激を疑似体験させ、その際の脳活動を健常者と比較する実験を行った。その結果、患者群では痛みとの関連性が強いとされる体性感覚野、前帯状回、前頭葉で活動が観察された。その際、患者群ではビデオを見た際に表現しがたい不快な経験をしたことを報告している。これらの結果を併せて考えると慢性疼痛患者においては、繰り返される痛み経験の中で実際に痛み刺激が局所から加えられなくても、脳内で情動的な痛み経験を繰り返していることが推察された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Ikemoto T, Ushida T, et al.: "Painful mechanical stimulation evokes activation of distinct functional areas m the brain"Pain Research. 18. 137-144 (2003)
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[Publications] Ushida T, Ikemoto T, et al.: "Activation of distinct brain areas caused by virtual visual stimulation in allodynia patients"Clinical Neurophysiology. (In press). (2004)
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[Publications] 牛田 享宏: "痛みの基礎と臨床-Neuroimagingによる神経因性疼痛評価の試み-"真興交易(株). 14 (2003)