2002 Fiscal Year Annual Research Report
関節疾患に対するFrzb遺伝子導入による再生医療の開発
Project/Area Number |
14370472
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
堀井 基行 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (40219209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 俊一 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (20178031)
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Keywords | 関節軟骨 / アデノウイルスベクター / Frzb / 変形性関節症 / 遺伝子治療 / 分化制御 / 再生医療 |
Research Abstract |
変形性関節症に対する保存的治療としてヒアルロン酸やステロイドの関節内投与,温熱療法、筋力増強訓練,体重減少指導などのリハビリテーションが行われているが,治療が長期にわたる上に症状の進行を十分に抑制するには至っていない.軟骨破壊に関わっているアポトーシスを抑制するために有効な蛋白やサイトカイインを利用して遺伝子治療も試みられてきたが,その有効性は未だ確立されていない.最近になりこれまで明らかでなかった軟骨の分化システムが解明されてきた.そして,軟骨細胞の分化の決定は先天的に決定されたものではなく,関節形成部位における特有の場のシグナルにより調節されていること,軟骨細胞の分化はその過程で関節軟骨を構成する永久軟骨細胞と肥大化して軟骨基質の石灰化を誘導する成長軟骨細胞への方向付けがなされていることがわかってきている.今回われわれは軟骨関節形成に深く関わっているwntの可溶型受容体の一つであり,軟骨細胞の内軟骨骨化を抑制する働きがあるFrzbに注目した.本研究の目的は,変形性関節症における軟骨細胞の異常分化のメカニズムを解明し、関節軟骨変性疾患に対する効果的な治療法を開発することである.閉鎖腔である関節内にマーカー遺伝子を組み込んだアデノウイルスベクターを直接投与した.その際、滑膜細胞には高率に遺伝子導入が可能であったが,軟骨細胞に対しては低い効率しか得られなかった.非ウイルス性遺伝子導入法として,各種のcationic polymerと導入するプラスミドとしてEBVプラスミドベクターを組み合わせて培養軟骨細胞に対して遺伝子導入効率を検討した.従来の非ウイルス性導入法と比較して非常に高率な遺伝子発現と,長期にわたる発現維持が可能であった.現在,変形性関節症や関節炎モデル動物の関節に対し,Frzb遺伝子を導入を行い変性抑制効果を検討している.
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