2002 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄視床路細胞へのATPP2X受容体感受性入力とカプサイシンVR1受容体入力の統合
Project/Area Number |
14370474
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
谷口 泰徳 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10264889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉置 哲也 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (30009592)
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Keywords | パッチクランプ記録 / シナプス応答 / 骨髄 / スライス標本 / 脊椎視床路細胞 / ATP受容体 / カプサイシン受容体 / 痛覚 |
Research Abstract |
本年度、我々は当教室において、記録システムを立ち上げました。赤外線顕微鏡下に、脊髄スライス標本を用いて、脊髄後角単一細胞からのパッチクランプ記録に成功しました。当教室において、安定した記録手技の確立が達成できた後に、研究課題に沿って研究を進めてきました。まず、我々は脊髄第V層の単一細胞記録において、ATP P2X受容体作動薬あるいはカプサイシン単独投与において、活動電位が発生することを確認しました。同時に両受容体の作動薬を投与した際には、各単独投与と比較し、活動電位の発生頻度が高くなることを観察しました。本現象は、反復性の末梢刺激によって脊髄後角深層において観察されるWind-up現象に類似していました。 当初研究計画では、後根を付した脊髄標本をもちいて、後根をC線維閾値以上の強度で反復性電気刺激を行い、反復刺激後の後根誘起電流の振幅が、反復刺激以前の振幅より大きくなるのではないかと仮定していました。しかしながら、今回の研究においては、反復刺激後の後根誘起電流の振幅は、有意には反復刺激以前の振幅より大きくはありませんでした。従って、ATP P2X受容体拮抗剤およびカプサイシン受容体拮抗剤存在下において、同研究は行っていません。 更に、我々は本システムを用いて、関連する研究の課題を考案し、研究成果を上げました。サブスタンスPとその受容体作動薬は、脊髄第V層細胞において、興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸だけでなく、抑制性神経伝達物質であるグリシン、GABAの遊離を増強させ、脊髄痛覚伝達回路の抑制系を賦活化させることを明らかにし、学会発表しました。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 中塚映政, 玉置哲也, 吉田宗人他: "脊髄内痛覚伝達経路における痛覚感受性受容体の役割"臨床整形外科. 37(4). 351-358 (2002)
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[Publications] 中塚映政, 玉置哲也, 山田 宏他: "痛覚伝達系におけるATP受容体の役割"脊髄機能診断学. 24(1). 40-44 (2002)
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[Publications] Nakatsuka T, Furue H, Tamaki T, et al.: "脊髄内痛覚伝達経路における痛覚感受性受容体の役割"Abstracts of 32nd Annual Meeting of Society for Neuroscience. 28. 52 (2002)
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[Publications] Nakatsuka T, Furu H, Yoshimura M, Tamaki T, et al.: "Synaptic convergence of ATP-sensitive and capsaicin-sensitive sensory pathways in the spinal cord"Abstracts of 1 0th World Congress of Pain. 10. 105 (2002)