2002 Fiscal Year Annual Research Report
単一受容体ではなく脳内ノルアドレナリン神経網による全身麻酔機序の一元化
Project/Area Number |
14370480
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
廣田 和美 弘前大学, 医学部・附属病院, 講師 (20238413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫛方 哲也 弘前大学, 医学部・附属病院, 医員 (80250603)
工藤 美穂子 弘前大学, 医学部, 助手 (30003411)
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Keywords | オレキシン / バルビタール / ラット / ノルエピネフリン / 細胞内カルシウム濃度 |
Research Abstract |
[In Vitro] 1.オレキシン(OX)AまたはBによる選択的ノルアドレナリン(NA)放出に対するバルビタール麻酔薬の効果 ラット大脳皮質スライスを、バルビタール(チオペンタール、ペントバルビタール、フェノバルビタール、バルビツール酸)存在及び非存在下でOXAまたはB100nMとともに10分間37℃でインキュベーションし、放出ノルエピンリン(NE)量をHPLC法で測定した。その結果、バルビタール麻酔薬は全て、濃度依存的にNE放出を抑制したが、麻酔作用の無いバルビツール酸は抑制しなかった。チオペンタール、ペントバルビタール、フェノバルビタールのNE放出を50%抑制する濃度(最大抑制度)は各々、15μM(94%)、57μM(88%)、330μM(121%)で、OXBでは24μM(92%)、44μM(69%)、383μM(121%)だった。 2. OXによる細胞内Ca濃度上昇に対するバルビタール麻酔薬の効果 大脳皮質細胞を用いた研究では、OXAによる細胞内Ca濃度の増加が認められなかった。このため、チャイニーズ・ハムスター卵母細胞にOX_1またはOX_2受容体を発現させたcell lineを用いて検討した。その結果、各種バルビタール麻酔薬は、OX受容体に対して直接作用を有しないことが分かった。 [In Vivo] 1.OXAおよびOXB脳室内投与のバルビタール麻酔時間に対する効果 麻酔時間が約80分となるバルビタールの麻酔薬量(チオペンタール45mg/kg、ペントバルビタール35mg/kg、フェノバルビタール105mg/kg)に、OXA0、0.2、1,5nmolを脳室内(icv)へ投与し麻酔時間を測定した。その結果、どのバルビタール麻酔時間も短縮し、チオペンタール群で最大35%,ペントバルビタール群で21%フェノバルビタール群で47%短縮した。またOXB5.0nmol投与でも麻酔時間は短縮したがOXAに比べ有意に弱かった。 2.OX1受容体拮抗薬のバルビタール麻酔時間に対する効果 チオペンタール麻酔時間は、OX1拮抗薬SB-334867脳室内投与の用量依存的に延長し、最大で48%延長した。また、OXA5nmol投与による麻酔時間の延長は、SB-334867 50nmolにより完全拮抗された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kushikata T, Hirota K, Yoshida H, et al.: "Alpha-2 adrenoceptor activity affects propofol-induced sleeping time"Anesthesia and Analgesia. 94. 1201-1206 (2002)
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[Publications] Hirota K, Kushikata T, Kudo M, et al.: "Interaction between orexinergic and opioid/nociceptin systems in rat cerebrocortical slices"Neuroscience Letters. (In press). (2003)