2002 Fiscal Year Annual Research Report
虚血再灌流時の酸化ストレスが単球ならびにリンパ球のサイトカイン産生におよぼす影響―フローサイトメトリーと分子生物学的手法を用いた研究―
Project/Area Number |
14370486
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
荒井 俊之 京都大学, 医学研究科, 助教授 (80175950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
難波 恒久 京都大学, 医学研究科, 助手 (30283609)
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Keywords | 単球 / リンパ球 / 酸化ストレス / 過酸化水素 / 9-ホルミルプテリン / フローサイトメトリー / 細胞死 / サイトカイン産生 |
Research Abstract |
虚血再潅流時の酸化ストレスが単球ならびにリンパ球サイトカイン産生におよぼす影響を検討するため、以下の研究をおこなった。 1.酸化ストレスが単球ならびにリンパ球の細胞死におよぼす影響 外因性の酸化ストレスとして過酸化水素を、内因性の酸化ストレスとして細胞内で過酸化水素を産生する6-ホルミルプテリン(6FP)を用いた。細胞死はフローサイトメトリーにてホスファチジルセリン(PS)の細胞表面への露出度を測定することにより、評価した。結果、100μMの過酸化水素を24時間負荷した場合、単球では細胞死がほとんど見られなかったが、リンパ球は全滅した。6FPを24時間負荷した場合、単球では500μMの6FPによる細胞死が認められたが、リンパ球では認められなかった。これより、単球とリンパ球では外因性と内因性の酸化ストレスに対する抵抗性が異なることが分かった。 2.酸化ストレスが単球のサイトカイン産生におよぼす影響 単球をリポサッカライド(LPS)で刺激した場合、サイトカインが産生される。このサイトカイン産生におよぼす過酸化水素ならびに6FPの影響をみた。サイトカインの産生は、フローサイトメトリーを用いてその細胞内での産生を測定した。結果、過酸化水素も6FPも単球のLPSによるサイトカイン産生に影響を与えなかった。これより、単球のサイトカイン産生は内外の酸化ストレスの影響を受けないことが分かった。 3.酸化ストレスがリンパ球のサイトカイン産生におよぼす影響 リンパ球をPHAやPMAのような細胞分裂促進剤(mitogen)で刺激した場合、サイトカインが産生される。このサイトカイン産生におよぼす過酸化水素ならびに6FPの影響をみた。過酸化水素は研究1で細胞死をもたらすことが明らかなので、用いなかった。結果、6FPは濃度依存性にリンパ球のmitogenによるサイトカイン産生を抑制した。これより、リンパ球のサイトカイン産生は内因性の酸化ストレスの影響を受けることが分かった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Maiko Nishioka, Toshiyuki Arai, et al.: "Effects of 6-formylpterin as an internal source of hydrogen peroxide on cell death of human peripheral blood leukocytes"Life Sciences. (in press). (2003)