2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14370488
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 裕 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90252676)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 壽 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90127241)
嶋津 岳士 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (50196474)
小倉 裕司 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70301265)
|
Keywords | NF-κB / グルココルチコイド受容体 / ストレス応答 / 白血球機能 / 重症感染症 / 重度外傷 / G-CSF / 炎症性サイトカイン |
Research Abstract |
重症感染症の新たなる治療戦略を確立するために、本研究の焦点を以下の3点に絞り実施した。1)重症感染症時の白血球核内NF-κBとステロイドレセプター(GR)の定量法の確立。2)NF-κBとGRバランスに基づいた治療戦略の確立。3)重症感染症時の応答遺伝子の発現に関する研究。ストレス応答に関与するメジエーターを転写因子レベルで調整することは、重症感染症に対する新たな治療戦略と考えられる。平成14年度は白血球核内NF-κBならびにGRの定量法をフローサイトメトリを用いて確立した。平成15年度は侵襲時の両者の関係について検討した。29例の外傷や敗血症の患者と15例の健常人でNF-κBならびにGRを測定した結果、患者群ではNF-κB値ならびにGRが有意に上昇していた。両転写因子には有意な正の相関を認めたが、特に侵襲後第3病日以降で著明であった。NF-κBの上昇に相まって炎症性サイトカインは上昇した。またGRの上昇に相まって血中コルチゾールは増加した。以上より侵襲には炎症を誘導する転写因子NF-κBの増加に対応して、抗炎症作用を誘導するGRが増加し、両者でバランスを保ちながら侵襲反応が進んでいることが明らかとなった。平成16年度は敗血症時のG-CSF投与時、ならびに重症呼吸不全患者に対するステロイド投与時のNF-κBの発現とGR値の関係(バランス)について検討した。その結果、G-CSF投与ではNF-κBもGRもともにバランスを保った状態で上昇した。またステロイド投与時はGRが上昇し、反対にNF-κBは低下し炎症反応が抑制されることが明らかとなった。動物実験では多臓器障害モデルを作成し、トロンボモデユリンの投与効果について検討し、生存率の上昇、炎症性サイトカインの抑制効果が明らかとなった。また各臓器における遺伝子発現についてInsulin-like growth factorなどのgrowth factorの関与を明らかにした。
|
Research Products
(10 results)