2002 Fiscal Year Annual Research Report
体外循環時の脳高次機能障害モニタリングと理想的脳管理法の確立
Project/Area Number |
14370491
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
上村 裕一 鹿児島大学, 医学部, 教授 (30211189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
當房 和己 鹿児島大学, 医学部, 助手 (30325807)
垣花 泰之 鹿児島大学, 医学部附属病院, 講師 (20264426)
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Keywords | 近赤外線分光法 / S-100b蛋白 / 内頚静脈血酸素飽和度 / 体外循環 / モノアミン / 脳高次機能障害 |
Research Abstract |
本研究の目的は、体外循環後に発生する脳高次機能障害を早期に検出するための新たなモニタリング法を確立し、それを基に理想的な周術期脳管理法を構築することである。脳高次機能障害の評価には十分な症例数が必要であり本年度(14年度)は、(1)症例の蓄積(データーベースの作成)、(2)本研究で用いる脳モニタリング法の検出感度に関しての評価、を行った。<方法>インフォームドコンセントの得られた体外循環(CPB)下の開心術予定症例において、術中、術後の脳内酸素化状態を近赤外分光法(NIRS)と、内頚静脈酸素飽和度(SjvO2)を用いて連続的に測定するとともに、S-100β蛋白とモノアミン類を、(1)CPB開始前、(2)終了直後、(3)5時間後、(4)24時間後、(5)48時間後に測定した。脳高次機能は、(1)手術前日、(2)終了7日後、(3)退院時に検査を行った。<結果・考察>術中SjvO2の変化と術後脳障害との間に相関はみられなかったが、NIRSによる術中のチトクロムオキシダーゼ変化と術後脳障害の間には有意な相関が認められた。しかし、測定部位(前額部)から離れた局所的な脳障害(後頭葉や側頭葉、大脳基底核周辺の脳梗塞)に関してはNIRSでは検出できなかった。一方、S-100β蛋白値の変化と術後脳障害との関係を調べると、CPB終了5時間以降では有意な相関関係がみとめられたが、それ以前では相関はみられなかった。今回の検討から、NIRSとS-100β蛋白は測定領域の問題や時間的問題(検出の遅れ)はみられたが、重篤な脳障害に関しては検出可能であった。しかし、脳高次機能障害に関しては、症例数が少ないため現段階では結論は得られなかった。今回の結果を踏まえた上で、来年度はさらに症例数を増やし、脳高次機能障害早期検出のためのモニタリング法に関して評価を行う予定である。
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