2003 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症における至適ヘモグロビン値と腸管壁防御機構―ストレス応答酵素の役割
Project/Area Number |
14370495
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
森崎 浩 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60182226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末松 誠 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00206385)
森田 慶久 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10276983)
小竹 良文 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70195733)
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Keywords | 敗血症 / 輸血 / 腸管壁防御機構 / ヘムオキシゲナーゼ / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
平成15年度は3年計画の2年目として、初年度の研究結果「内毒素血症ラットの腸管壁透過性の亢進(蛍光色素FITCラベルデキストラン法)は、高ヘマトクリット群でさらに増強すること」を、まず5月の米国胸部疾患学会(シアトル)にて発表した。これは、腸管内腔からのbacterial translocationを防止する点で、敗血症ではヘモグロビン値を高く維持しない方がよいことを示している。この結果を基に、15年度は機序解明に向け、マクロレベルではヘミン投与により予めHO-1を誘導したラットにおいて輸血あるいは血液希釈の影響が腸管壁機能的統合性に影響するか検討したところ、輸血ならびに血液希釈ラットを含め全例死亡した。さらに、腸管壁におけるHO-1誘導の表出状況を免疫染色法により解析した。その結果、少なくともHO-1の関与は薄いという結果を得た。さらに、HO-1誘導時に産生されるビリルビン値を測定したが、高ならびに低ヘモグロビンラット共に測定限界以下とHO-1誘導を示すビリルビン高値を示さなかった。以上のことから、高ヘモグロビン維持による内毒素惹起性腸管壁透過性亢進はHO-1誘導に起因するものではない可能性が示唆された。その他の出費は、外部委託となった免疫染色やビリルビン測定ならびに血液培養に使用した。一方、ミクロレベルでの検討として、準備実験を重ねた結果、生体顕微鏡下における腸管粘膜微小循環の描出が可能となり、HO-1由来の一酸化炭素(CO)やNOの関与をそれぞれの阻害薬を用いながら検討を開始している。現在では、従来より腸管壁透過性を制御する因子と指摘されている一酸化窒素の誘導酵素(NOS)にも注目して検討すると共に、これをさらに進め、初年度に捉えた、高ヘモグロビンが内毒素惹起性腸管壁透過性亢進を増強する機序を解明する予定である。
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