2003 Fiscal Year Annual Research Report
減数分裂におけるDNA傷害チェックポイントの解析:染色体異常との関連から
Project/Area Number |
14370518
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
林 祐太郎 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (40238134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
郡 健二郎 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30122047)
中西 真 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40217774)
村上 浩士 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (80262020)
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Keywords | 分裂酵母 / DNA傷害チェックポイント / 細胞周期 / 減数分裂 |
Research Abstract |
ヒト減数分裂異常の原因を解明するため、減数分裂チェックポイント機構の解明に有用なモデルとして知られる分裂酵母を用いて研究を行った。 分裂酵母変異体として、rad1欠損株(Δrad1)、Δchk1の各遺伝子変異とpat1変異体との二重変異株を作成し実験を行った。これらの変異体が同調的に減数分裂を開始した時、培地にMMS(メチルメタンスルホン酸)を加え細胞を観察した。その結果、0.02%MMSを加えてから8時間後に、減数分裂が完了した細胞は、Δrad1では15%(コントロール群4%)、Δchk1では9%であり、さらに、異常な細胞分裂(cut細胞)が1時間後にそれぞれ8%、4%に観察された。これらは、分裂酵母のチェックポイントrad遺伝子とそれにより活性化されるchk1が、減数分裂時のDNA傷害チェックポイント機構に必要であることを示唆している。 次に、これらの変異体が、DNA傷害に対してどのようなタンパクレベルの変化を来しているかを、ウェスタンブロット、キナーゼアッセイで調べた。Δrad1では、DNA傷害に対し、chk1のバンドシフトが観察されなかった。このことより、rad1がchk1を活性制御していることが示唆された。また、Δrad1、Δchk1においては、DNA傷害に対して、cdc2 Tyr15のリン酸化状態が減弱し、cdc2のキナーゼアッセイでも脱リン酸化を検出した。 これらより、減数分裂におけるDNA傷害チェックポイント機構は、rad1、chk1といったチェックポイント遺伝子や、cdc2 Tyr15のリン酸化を介して働いていることを示唆している。 減数分裂におけるチェックポイントの破たんは、異常な減数分裂となることが示唆されるため、ヒトにおける減数分裂異常の解明につながるものと考えられた。
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