2002 Fiscal Year Annual Research Report
一過性内耳虚血による神経細胞障害メカニズムとその防御因子の研究
Project/Area Number |
14370545
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
暁 清文 愛媛大学, 医学部, 教授 (00108383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠森 裕介 愛媛大学, 医学部附属病院, 助手 (60335908)
白馬 伸洋 愛媛大学, 医学部, 助手 (70304623)
羽藤 直人 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (60284410)
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Keywords | 虚血性難聴 / 内耳障害防御 / 内有毛細胞 / ラセン神経節細胞 / アポトーシス / 低体温療法 / GDNF / 神経幹細胞 |
Research Abstract |
本研究は虚血性難聴の病態を明らかにするとともに、内耳障害防御についての基礎的研究を進め、エビデンスに基づいた新しい急性難聴の治療法開発を目的とした。実験動物には前脳と後脳の動脈支配が独立しているスナネズミを用い、両側の椎骨動脈を一時的に頸部で遮断することにより一過性内耳虚血を惹起した。この動物は中耳骨胞開放や開頭を要さず長期間生存が可能という特徴がある。 1)一過性内耳虚血により有毛細胞、特に内有毛細胞に強い脱落障害がみられた。2)ラセン神経節細胞にも脱落はみられたが、EPは一時的に低下するものの血管条には異常はみられなかった。3)細胞脱落のメカニズムにはアポトーシスが強く関与していた。アポトーシスは虚血後12時間目にピークを示し3日目までみられた。4)内耳障害の防御には低体温療法や、グルタミン酸拮抗剤、フリーラジカル捕捉剤、ジンセノサイドなどアポトーシス抑制剤が有効であった。4)GDNFアデノウイルスベクターを経正円窓的に内耳に投与したところ鼓室階にGDNFが発現し、虚血による内耳障害が機能的にも組織学的にも抑制された。5)スナネズミ胎児より海馬および線条体由来の神経幹細胞を採取・培養して虚血性難聴動物に投与したところ、有毛細胞が死滅した部位に入り込みそこで生着した。これにより感音性難聴に対する「細胞治療」の可能性が示された。 本研究の結果、内耳虚血により有毛細胞やラセン神経節細胞に脱落障害がおこるが、その機序としてアポトーシスが重要な役割を果たすことが明らかとなった。アポトーシスは虚血後12時間目にピークを示し3日目まで続くことから、アポトーシス抑制剤による治療はできるだけ早期に開始し短期間で終えるのが治療のポイントと思われた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Taniguchi, M., Gyo, K., et al.: "Apoptotic hair cell death after transient cochlear ischemia in gerbils"Neuroreport. 20・13. 2459-2462 (2002)
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[Publications] Koga, K., Gyo, K., et al.: "Transient cochlear ischemia causes delayed cell death in the organ of Corti : An experimental study in gerbils"J Comp Neurol. 3・456. 105-111 (2003)
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[Publications] 白馬伸洋, 暁清文, 他: "虚血性内耳障害に対する遺伝子治療"Otol Jpn. 12・3. 155-159 (2002)
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[Publications] Hakuba, N., Gyo, K., et al.: "Adenovirus-mediated overexpression of gene prevents hearing loss and progressive inner hair cell loss"Gene Therapy. in press.