2002 Fiscal Year Annual Research Report
内耳における電位依存性カリウムチャンネルの発現と遺伝性難聴―分子生物学的解析―
Project/Area Number |
14370546
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菊地 俊彦 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (70177799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 尚弘 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (90291260)
川瀬 哲明 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (50169728)
小林 俊光 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80133958)
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Keywords | voltage-gated potassium channel / potassium ion / endocochlear potential / spiral ganglion cell / hereditary deafness |
Research Abstract |
哺乳類内耳において、Kv3.1bおよびKv3.4をはじめとする種々の電位依存性カリウムチャネルがラセン靭帯線維細胞を始めとして広範囲に強く発現していることを免疫組織科学的手法を用いて明らかにする事が出来た。これらの電位依存性カリウムチャンネルは内耳におけるカリウムイオン輸送機構において重要な役割を担っているものと考えられた。平成14年10月に東京都で開催された日本耳科学会シンポジウムにおいてその成果の一部を発表した。 一部の電位依存性カリウムチャネルはラセン神経節細胞に特異的に発現していることが明らかとなり、ラセン神経節細胞の特性を考える上で極めて重要な基礎的知見と考えられ、現在、微分干渉顕微鏡を用いてその局在を更に詳細に検討している。 また、マウスにおいて出生時にはカリウムイオン輸送機構が確立しておらず、成熟するまで約1ヶ月を要することが知られている。この生後発達段階における種々の電位依存性カリウムチャネルの発現過程についても詳細な検討を行う予定である。本年度は、その準備段階として生後0日から生後30日までのマウス内耳組織の採取および切片作成を行った。固定液に酢酸を加えることにより、良好な組織形態の保持および抗原性の維持が得られた。 更に、本研究において、電位依存性カリウムチャンネルKv3.4に対する特異的ブロッカーであるBDS-IおよびBDS-IIをはじめとする種々の電位依存性カリウムチャンネルに対する特異的ブロッカーを用いて、モルモットの外リンパを灌流し、電気生理学的にEP、CAP、CM等の解析を行う予定であるが、本年度は、外リンパ灌流、EP、CMの測定に関する基礎的実験系を確立することに成功した。
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Research Products
(1 results)